社会人として生活するのに必要な力って、どんなものでしょうか?

人によって考え方は違うと思いますが、社会人の自己管理能力として必ず必要になるのは

 

「自分自身、家のこと、お金」を管理する力だと考えています。

一つずつ見ていきましょう。

 

 

■自分自身について

大人として生活していくためには、自分の体調を管理しながら、行動をコントロールする必要があります。

社会人として会社勤めをしていれば、毎日の勤務を規則正しく続けることができなければなりませんよね。

発達障害のある方は、この自己管理が苦手なことが多いようです。

 

たとえば、興味のあることに集中するのが得意な方は、楽しい飲み会に全力で参加してしまって歯止めがきかなくなり、翌日の勤務に支障をきたしたり。

決まりを守ることが得意な方は、体調が悪くても休むということをせず、倒れるまで働き続けてしまったり。

自分の疲れに気づきにくい、体調不良を感じにくいという方もおられます。

 

小さいうちから、

 

・先の見通しを立てて行動する練習

・自分の体調をふりかえる練習

・規則正しい生活習慣をつける練習

・定期的に運動をすること

 

をお勧めします。

 

たとえば自分の疲れに気づきにくいお子さんには、「あなたは疲れてくるとイライラしがちです」などと教えてあげ、休憩を取る必要性に気づかせてあげたり、自然に体を休めることができないお子さんには、休む時間には「ソファーに横になって目をとじてクラシック音楽を聞き流す」など、静かな作業を与えてあげたり、といった支援が考えられます。お子さんの個性に合わせて工夫してあげてくださいね。

 

 

また、それ以前の課題として、「身だしなみを整える」ことも大切です。

社会人になると、面と向かって身だしなみを指摘してもらえる機会はあまりありません。髪がボサボサだったり、洗濯していない服を着ていたりすると、本人には一切悪気がなくても「近寄りがたい人」という印象を周囲に与えかねません。そのせいで敬遠され、会社にいづらくなる・重要な仕事を任されなくなる、といったことも。

4~5歳程度の児童の集団でも、たとえば口の周りが食べ物で汚れていたりよだれが出ていたりするお友達は敬遠されがちです。そのせいで友達との関係が深まらない、という可能性もあります。

 

このように、身だしなみを初めとする生活のスキルは、コミュニケーションスキルや「仕事に就く」「働き続ける」ことにも影響を与えます。ぜひ小さな頃からご家庭で練習を進めてみてくださいね。

特に、頭髪、顔、背中側のズボンの裾など、自分で見えない部分に気がつきにくい場合が多いので、一つひとつ丁寧に指導していきましょう。鏡を見ながら口を拭く練習をしたり、身なりの整った状態とそうでない状態の写真を掲示して比較したりするとわかりやすいでしょう。
 

■家のことについて

保護者や支援者と一緒に生活していて、家事をしなくても済む場合であっても、ある程度の家事が自分でできるようになっていると、人生の幅が非常に広がります。必要ないからと思わず、積極的に練習していきましょう。

たいていの家事は決まった手順があるため、練習方法を工夫すれば、かなり複雑な家事でもこなせるようになる方が多いようです。

ただ、作業自体はできるけれど、必要性を感じないため、誰かに言われるまで何もやらないという方もいらっしゃいました(^ ^;)

 

どうしても苦手な家事については無理をせず、代行サービスを利用するなどの柔軟な対応も用意しておくと、保護者も本人も気が楽になると思います。

その上で、小さいうちから、簡単な家事をお手伝いの中に取り入れたり、 家事の意味や必要性を話し合ったりして、 お子さんにとって家事が自然な作業になるように働きかけていくとよいでしょう。

 

 

 

■お金について
お金の管理はどんな方にも必要なスキルですから、 ぜひ小さいうちから練習していきましょう。
金額や使い道を保護者が押しつけるような形になってしまうと結局うまくいかないことも多いので、お子さんが自分で納得のいく使い道を自分で決めるプロセスが大切です。

 

以下は指導の一例です。

 

=================

1.

お子さんの1ヶ月(または1週間)の生活を考え、何にどのくらいのお金が必要かを書き出します。
ご家庭のご指導方針にもよりますが、お小遣いが多すぎても少なすぎても良くないので、ほしいもの・必要なものが手に入るような金額を保護者とお子さんとで納得のいくように設定しましょう。

 

2.

お菓子に200円、文房具に200円、などと金額が決まったら、それぞれを小さなケースに小分けして入れ、そのものを買う時にだけそのケースを持ち出すようにします。

お金を正しく使えたら表にシールを貼って、いくつかシールが貯まったらいくらかのお小遣いと交換するなど、お金を管理するモチベーションを保つような働きかけも良いでしょう。

 

3.

決まったものを買うことに慣れてから、自由に使えるお金を渡したり、ケースに小分けするのを止めたりして、少しずつ柔軟な使い方に練習を進めていきます。

=================

 

お子さんの理解度によっては、まずはおもちゃのお金を使って保護者から商品を買うところから練習を始めたり、ケースの持ち出しを保護者の許可制にしたりなど、無理のない練習方法を設定していきましょう。

 

 

 

一人の人間として充実した生活を送っていくためにはさまざまなスキルが必要ですが、今回書いた3つは、社会人としての基本的な自己管理能力です。ぜひ、小さいうちから練習することをお勧めします。

具体的な練習方法にお困りの方は、どうぞご相談くださいね。