641-1 育児は自分を客観視すること
前回は、発達の全体像を知ることが、育児において「一歩引いてみる」ための方法の一つだと書きました。
一歩引いて物事を見る、客観視する、と簡単に言いますが、実際はそう簡単ではありませんよね。
特に、自分自身のことや、自分が強く感情移入する対象のことを客観視するのは、実に難しい。
だからこそ育児が苦しく感じられることもあったりするわけなのですが、、、
育児とは、大人が子供を慈しみ育む行為です。
と同時に、子供との関わりを通して大人が自分自身を振り返る機会でもあります。
人は自分で自分の顔を見ることができませんが、鏡に映せば自分の顔を見ることができます。
それと同じように、自分を客観視するには、「他者を通す」ことが必要不可欠です。
育児という行為、育む相手である我が子も、まさにその「他者」の役割を果たします。
641-2 我が子を通して自分に関わっている
たとえばわたしは息子の話を聞くのがしんどいときがあります。
彼は戦闘機について語るのが大好きで、延々と話しかけてくるのですが、こちらは戦闘機には一切興味がない(ごめん)。
真面目に話の内容を聞き取ろうとするとものすごく疲れるので、ついつい投げやりな対応をしてしまうこともありました、というかほぼ毎回そうでした(ごめん)。
でも、ここで、息子を通して自分に関わっていると思うと、どうでしょうか。
自分が大好きなこと、話したいことがたくさんあるのに、自分でそれを受け取らずにいる。
自分自身をないがしろにしています。
とは言え、戦闘機の話に興味がない&聞いていても疲れるというわたし自身の感情もあります。
なので、息子が話に来たら、ひとまず息子を膝にのせて抱きしめてみました。
話の内容はあまり聞いていないのですが、息子に全身で関心を向けてみます。
その時の息子の笑顔といったら。。。
その柔らかさ、純粋な喜びの表情に、ただ驚きました。
同時に自分自身もほどけていくのを感じました。
息子だけでなく、自分自身をも慈しみ抱きしめていたのかもしれないと思います。
641-3 あなたが育児の深みを見ているからこそ
育児療育は、その行為全体を通して、自分自身を客観視することをずっと継続しているようなものです。
深い体験を得られもしますが、時と場合によってはつらいこともあるでしょう。
育児がつらいとお感じの親御さんのお話を伺っていると、育児そのものがつらいというよりも、育児を通して自分自身を振り返った結果、ご自身の奥に眠っている課題に直面して気持ちが乱れているのかも、という場合も少なからずあるように思います。
ただ子育てをしているだけなら、そんなに深いつらさは感じません。
いまご自身の育児で、身の内が揺さぶられるようなつらさを感じている方は、育児を通してあなたの人生が変わるような何かを得ようとしている最中なのだと思います。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。