860-1 歯間ブラシ騒動
昨晩、子供が、使い終わった歯間ブラシをゴミ箱に向かって投げ(キタナイデスネ)、それがゴミ箱に入らずどこかに落ちました。
父親は「そんな不衛生なものを投げるなんて何を考えているんだ」とおかんむり!
みんなで付近の物をどかして探しましたが、なかなか見つかりません。
結局ソファーの下の狭い隙間に落ちているのを見つけて、家具をあれこれ動かして歯間ブラシを回収するという、なかなかの騒動になりました。
歯間ブラシをようやくゴミ箱に入れて、やれやれ、となったところで、子供が実に良い呼吸で「いやあ、どうもすみません」。
「てへぺろ」と効果音をつけたくなるような表情・声音で、みんな大笑い。
父親も「今のはいいな。そうやって言ってくれたらみんないい気分で終われる」と、なごやかでした。
860-2 「ありがとう」を覚えさせておく
わたしは内心、父親と子供が言い争いを始めるのではないかとヒヤヒヤしていたのですが、子供が軽やかに状況を吹き払ったことに感心しました。
仮にここで子供が、父親の叱責にふてくされた様子を見せたり、一緒に探した家族に一言もなく自分の遊びを始めたりしたら、父親の雷が落ちただろうし、わたしも(子供の気持ちは想像できるにせよ)子供に良い気持ちはしなかっただろうと思います。
以前、重度の心身障害や知的障害の方の支援に造詣の深い方が
言葉が出せる人には小さい頃から『ありがとう』という言葉を覚えさせておきなさい
それを覚えてしまうくらい本人に『ありがとう』と声をかけなさい
とおっしゃっていました。
たとえ本人には意味がわかっていなくても、ただのオウム返しでもいいから、「ありがとう」と話せるようになっておけ、と。
それが支援者の心の中に温かい感情を呼び起こし、良好な関係を醸成する。
支援者が「この人と一緒にいるのは居心地が良い、支援が楽しい、苦にならない」と思えたら、それが何より本人の財産になるから、ということでした。
860-3 愛嬌、可愛げ
障害の重い方は生きていくために他人の手を借りることが絶対的に必要で、相手に伝わりやすいやりとりや自己主張が難しいことが多いので、このお話もちょっと極端に聞こえるかもしれません。
でも、一人では生きていけないとか、相手にうまく伝わるコミュニケーションが難しいなどということは、どんな人も一緒ですよね。
困った場面に直面したときに役立つのが、その人なりの愛嬌、可愛げ、といったものなのかなと思います。
子供が「どうもすみません」で父親のイライラを散らしたような、なんとなく相手の敵意をそらすことができる空気感というか。
生きていれば誰にでも、困ったことは起こります。
それをひょいと乗り越えて「うまく生きていく」ことができるかどうかは、実はこういう、ちょっとしたところにかかっているのでしょうね。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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