780-1 クラスメイトに悪口を言う男の子
クラスメイトに悪口を言うので周囲とのいざこざが絶えない、という小学校高学年の男の子のお話です。
先生が注意すると、「気持ちは言わなければ伝わらない」と不満顔です。
実際、彼の周囲の大人たちは、彼にそのように教えてきたのだそうで、彼にとっては、自分の怒りや不満を相手に伝えて思い知らせてやりたい、という感覚だったようです。
この話を聞いたときには、なるほどなあと感心しました。
確かに、人の気持ちは言葉にしなければ伝わりません。
では悪口を言ってもいいのか?というと、一般的には悪口は言わないほうがいいとされています。
でも、耳障りの良いことは言ってもよくて、そうでないことは言ってはダメ、と区別するのも違う気もします。
780-2 悪口に聞こえる理由
あなたならどう思いますか?
正解はどこにもないですね。
こういうときの大人の対応には、自分自身の生きてきた価値観や信念がそのまま問われます。
悪口は絶対ダメなんだ!と断固として言い切るのも一つでしょう。
お子さんの気持ちに寄り添うのも一つでしょう。
この男の子にとってのポイントは、伝え方だろうなと思います。
自分の不満を相手に伝えず黙って飲み込むのは、それが必要なときもあるだろうけれど、いつも飲み込んでばかりでは良いとも言えません。
でもそれが「悪口」に聞こえるのは、伝え方に難があるということです。
自分の不満だけしか見ていないと相手を責める言い方になります。
相手を含めた視野を取ることで表現は変わってきます。
と、小学生にこんな言い方をしても伝わるわけはありませんので、お子さんの腹に落ちるような伝え方を工夫しつつ、何度も何度も繰り返し伝えていくのが大事だろうと思います。
780-3 自分で気づくから宝物になる
ただし、この子の行動がすぐに変わるとは期待しないほうが良いですね。
こういうときの大人の働きかけは、いつか芽が出るときのために繰り返し繰り返し種を仕込んでいくようなものだと思いましょう。
悪口を言うな、と禁止することは簡単です。
教室の雰囲気や人間関係を保つために、一時的に大人の強権でその子の行動を止めたほうがいい場合もあるかもしれません。
でも、この子は今、コミュニケーションについてとても大切な気づきのとば口にいます。
彼にとって人生の宝物になるかもしれない気づきです。
これが宝物になるのは、本人が自分で気づいてこそ。
なろうことなら、その気づきを自分で拾い上げるまで、ゆっくりと待ってあげたいものですね。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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