H28年4月から、差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)が施行となり、公立学校教育の現場では、障害を持つ子供たちが十分な教育を受けられるよう、過度の負担になりすぎない範囲での合理的配慮を行うことが義務づけられました。

学校関係者はもちろん、保護者や支援に携わる方々は、合理的配慮について日々研究・実践を深められているものと思います。

とはいえ、まだまだ「合理的配慮って何?」「どうすればいいの?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで、このブログでは、学校現場で行われている代表的な支援の例を、まずは学習面について書いてみます。
(生活面での支援は別の記事で書く予定です。)

 

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まず前提として、そもそも合理的配慮とは、お子さん一人ひとりの状況に合わせて、個別に働きかけを工夫すべきものである、ということを改めて確認しておきましょう。

○○という診断名がついている子だからこの配慮を、○○という特性を持っているからこの配慮を、といったように、機械的に当てはめられるものではありません。このブログでご紹介する代表的な支援も、あくまでも支援を工夫する土台として捉えていただき、実際の支援ではお子さんのご様子に合わせて細かく微調整をしていただければと思います。

 

それを踏まえて、支援の基本的な枠組みを整理してみましょう。
まず、学びやすさを支える環境の調整についてです。

1.環境を整える
黒板に集中できるよう、教室の黒板側の壁にはできるだけ掲示物を貼らないようにするなど、余計な刺激をなくします。

2.時間の構造化
45~50分間の授業時間をどのように使うか、事前に配分を示したり、「あと○分で終わる」など終了時間を明示したり、といった支援で、時間の流れを明確にします。

3.ルールの明確化
「他の子が発言している最中には自分はしゃべらない」など、学級内の、あるいは授業時間中の暗黙のルールをはっきりと言葉にします。

4.視覚化
言葉で説明されただけでは忘れてしまいそうな事柄、言葉では説明が難しい事柄、ぜひ覚えておいてほしい重要な事柄などは、目で見てわかるように、文字・イラスト・写真などで示します。

5.ノイズ対策
机やイスの足に、切ったテニスボールを履かせて、引きずりによる騒音を減らします。騒音に敏感・物音で気が散りやすい・話し声を聞き取りにくい、といった子供たちに良い影響が期待できます。

6.テレビ会議システムやskypeなどを活用
院内学級などで主に行われている方法ですが、情緒級のお子さんにも活用できるでしょう。教室内の刺激をどうしてもコントロールしにくいお子さんに、教室とは離れたところにいながら通常教室と同じ授業に参加してもらえる仕組みです。画面を通して映像と音声を視聴します。マイクがあれば発言もできます。

 

次に、教科学習の面での工夫です。

7.段階を踏む
いきなり難しい問題に取り組ませるのはやる気をそぐもとです。プリントでは難易度が易しい順に問題を配置する、難易度別のプリントを用意する、一人で取り組む前にペアで問題に取り組む活動を行う、その子が今できているところまで戻って学習を進める、サポートの指導者を配置するなど、今のお子さんの習得度に合わせて支援を工夫します。

8.体を使った教材・活動
実際に触って体感できる教材、体を動かす・絵を描く・声を出すといった体験型の活動を組み込んで授業を構成します。具体物に触れ合う学習が最もわかりやすいのはもちろんですし、体を動かしたり声を出したりすることで、学習中に気持ちを切り替える効果もあります。座っているだけでは学びにつながりにくいお子さんも、体を動かすと理解しやすい場合もあります。

9.個別の特性に合わせた支援
たとえば読み書きのしづらさがあるお子さんに対して、拡大教科書やマルチメディアデイジー教科書の提供、プリント類の拡大コピー、より見やすい色やフォントへの変更、ルビを振る、などの支援がよく行われています。また、黒板を書き写す負担が高いお子さんには、黒板を撮影したデータまたはそのプリント紙を提供することもよいでしょう。

 

 

代表的な支援としては以上のようなものが考えられます。お子さんの学びやすさをサポートするためのご参考になれば幸いです。

もちろん支援はこれだけではありません。お子さんのご様子に合わせて柔軟に工夫してみてくださいね。

学校生活を楽しく過ごすには、学習面だけでなく、生活面でも合理的配慮が必要です。それについてはまた別の記事で書いてみますので、少々お待ちください。

 

それでは、また!