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今ご覧になっている記事は、手の運動が育つステップを6つに分けて説明しているシリーズ記事の5回目です。
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638-1 一連の動作を、順序良く、タイミングよく
これまで、手の発達を順番に見てきました。
わたしたちの日常動作は、そのすべてを組み合わせた複雑な要素で成り立っています。
指先で物事を感じ取りながら繊細に動かすこと、両手で役割分担しながら協力させて動かすこと。
さらに、そのすべてをまとめて、時間の流れの中で先を予測しながらタイミングよく動作することが、手の器用な動きの完成形です。
今回ご紹介する「6.全体を統合する」段階は、一連の動作を、次の状況を予測しながら、順番通りに、タイミングよく行う力を育みます。
たとえば園や学校でよくある「跳び箱を跳ぶ」「ドッジボールでボールをキャッチする」「縄跳びを跳ぶ」といった動作は、この「全体を統合する」能力を全身で活用しています。
跳び箱がうまく跳べる人と跳べない人の動作を思い浮かべてみると、「全体を統合する力」の発揮の仕方がイメージできるかと思います。
遊びを通して「全体を統合する力」を育むアプローチをご紹介します。
638-2 全体を統合する力を育む遊び
手遊び
手遊びはさまざま段階の子供たちの手の力を育んでくれます。
昔から乳幼児との関わりの中で行われてきた活動にはとても大きな力がありますね。
たとえば指人形をはめて動かす遊び、手で影絵を作る遊びは「3.手指のイメージを育む」段階にマッチしますし、両手で対称的な動き/左右別々の動きを行う手遊びは「5.両手の協調運動を育む」ことにつながります。
手遊びの中でも複雑な動きをするものや、歌に合わせて順番通りに手の形を変えていくものなどは、「6.全体を統合する力」に関わってきます。
手遊びはどの段階の子にもお勧めしたい遊びです。
少しくらい動きが合わなくても気にせず、ぜひ何度も親子で楽しんでください。
順番にカップを並べよう
紙コップの底に数字を書いてランダムに並べ、数字の順番通りに重ねます。
順序良く動作する練習です。
ランダムな数列を指定してその通りに重ねるのも良いでしょう。
この場合は短期記憶の練習にもなります。
色テープを貼って、指示した色通りに重ねるのもお勧めです。
右手が勝つ
大人がグー・チョキ・パーのいずれかをランダムに出します。
子供は右手でそれを真似、同時に左手で、右手に負ける形(右手がグーなら左手はチョキ)を出します。
できるだけテンポよく行いましょう。
流れの中でタイミングよく動作する練習です。
ビー玉キャッチ
テーブルの端から次々に転がしたビー玉を、反対側の端で紙コップでキャッチします。
先に手元に来るビー玉を予測して、ビー玉に合わせて自分の構えを柔軟に変えることになります。
一連の流れの中での動作の練習です。
ヨーヨー
水風船タイプでも、糸が巻き戻る玩具タイプでもOKです(水風船タイプのほうが難易度低)。
ヨーヨーの重さを感じ取りながら動きを予測して、タイミングよく手を上下に動かしてヨーヨーを打つ/掴んでは投げる、を繰り返すことになります。
本日は以上です。
明日は、これまでの全体をまとめてみたいと思います。
それでは、また。
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