手の運動の精度を上げる、手の感覚と力加減の育み方

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今ご覧になっている記事は、手の運動が育つステップを6つに分けて説明しているシリーズ記事の5回目です。
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636-1 「器用さ」の次のステップ

前回は、「親指側の3指が滑らかに動かせるようになる」ことが、いわゆる指先を器用に動かすということだと書きました。

ところで、指先の器用さには、運動(動かせること)だけではなく、感覚も影響してきます。

それが今回ご説明したい「4.感度の良さと力加減」ということです。


手先の細かな動作は、手の触覚を手がかりに調整されます。

たとえば紙を1枚ずつめくる、ゆで卵の殻をむくといった繊細な動作を、大人は普段、目を閉じていても遂行できるでしょう。
指先の感覚を頼りにしているからです。

ところが分厚い手袋をしてみると、こうした動作が急にぎこちなくなります。
指先の感覚が鈍るからですね。

これが、器用な動きに必要な「感度の良さ」ということです。


適切な力加減も大切です。

ゆで卵を握りつぶさずに持っていられるのは、卵の重さ・固さ・形を手の筋肉が感じ取り、その情報をもとに握る力を調整しているからです。

こうした、対象物に合わせた「力加減」が難しいと、持ったものを壊してしまう、動作が雑になるといった形での「不器用」が顔を出してきます。

遊びを通して、こうした感度の良さや力加減を育んでいきましょう。

636-2 感度の良さと力加減を育む遊び

同じ手触りはどれ?

ガーゼ、タオルハンカチ、綿の端切れなど、複数種類の布を同じ大きさに切って1枚ずつ並べ、そのうちの1種類だけ2枚混ぜておきます。
目を閉じて布を触り、同じものを当てます。
判別が難しい場合は、紙、段ボール、紙やすり、プラスチックなどの異素材を混ぜると難易度が下がります。
触覚の感度の良さを磨く練習になります。

同じものはどれ?

大きさの異なる、同形・同素材のもの(さまざまなサイズの丸いスーパーボールやビー玉など)を用意します。
箱の中にものを入れておき、見本と同じ大きさのものを手探りで探し出します。
上と似た課題ですが、上は触覚の練習、こちらは形や大きさを判別する力(立体覚)の練習です。

おはじきカーリング

距離を変えた的をつくり、目的の的に入るようにおはじきを指先で弾きます。
全力で弾くとおはじきが飛んでいってしまいます。
ほど良く力を抜いた指の力加減を練習できます。

粘土で〇△□

粘土を両手のひらで転がして丸める、指先で三角形や立方体を作るなど、さまざまな形を作ります。
手指の微妙な力加減の練習です。

紙風船

日本の昔ながらの紙風船を膨らませたり打ったりして遊んでみましょう。
薄い紙はちょっと力加減を誤るとすぐに穴が開いてしまいます。
潰れないように・壊れないように触れる力加減を練習できます。

見ないでできるかな

手元を隠した状態で、お手本通りにものを組み立てます。
お勧めは大型のブロックです。
わかりやすい形の2~3パーツを組み合わせたお手本を作っておき、同じパーツを提示して、指先の感覚だけで同じものを作ります。
他にも、粘土で形を作る、人形に服を着せる、食器を順番通りに重ねるなど、身の回りのもので遊び方を工夫できます。
ものを見ずに手の動きや感触だけで操作する練習です。

636-3 関わりの中で気をつけたいこと

過敏への不安を和らげる

すべての遊びに言えることですが、感覚過敏のあるお子さんには、無理は禁物です。

特に、ものを見ずに触れる、自分が見えないものに触れるということは、過敏のあるお子さんが最も苦手とするところです。

ご本人が無理なく触れる手触りのもので始める、「見ないでできるかな」の遊びでは何を触ることになるのかを事前によく確認してから始めるなどして、取り組みのハードルを下げてあげましょう。

ものを壊すことも大切な経験

手先の運動の発達途上にあるお子さんは、ものを雑に扱って(と大人には見える)壊してしまい、不注意を咎められる体験が多くなりがちです。

その結果、自分に自信がなくなったり、ものに触れることを恐れたりするようになることもあります。

ものを壊さずに扱えるようになるには、どう扱えば壊れるのか、どの程度の力なら壊れないのかを体得していくプロセスが欠かせません。

遊びの中では、仮に何かを壊しても咎めず、ドンマイ!の精神で行きましょう。
(壊しては困るものは教材として使わないようにしましょう。)

どの程度の力加減ならものが壊れるのかを、壊しても良い遊びの中で安心して経験することも、非常に大切なことです。


本日は以上です。
次回の配信内容は「5.両手の協調運動を育む」です。
都合により今週の土日は配信をお休みさせていただきますので、次回更新は6/13(月)です。

それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。

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この記事を書いた人

楽しい療育の三輪堂 主宰

身体の原理原則で、育児も人生ももっと面白く。

ふとしたきっかけでゼロから独学で療育を学び、療育の知恵はあらゆる人に当てはまる人生の知恵であると確信。従来の療育知識に整体・武学体術・エッセンシャルオイル等を取り入れ、身体の原理原則にもとづいて無理なく心身を活かす道を提案中。日常生活のすべてが学びになり、よりよく生きるヒントに変わる生き方を実践しています。

活動フィールドは、情報発信・執筆・オンライン療育相談・身体と心のつながりを深めるセミナー・エッセンシャルオイルと整体を組み合わせたケア・志を発信する媒体作成など。

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