607-1 ▼ のれんに腕押し
のれんに腕押しという言葉があります。
何を言っても相手がのらりくらりと逃げて話にならないといった意味ですが、実際にのれんに腕押しをしてみると、全く腕押しになりません。
一方、壁に腕押しをしてみると、はっきりと押す感覚が得られます。
壁を押す反動で筋肉が緊張して、「腕を使っている」「壁を押している」という実感を脳に感じさせてくれます。
のれんに腕押しをするときも、布一枚分の抵抗は存在しているはずなのですが、その繊細な感覚をキャッチできる人は少ないでしょう。
押したという感覚を得るには、相手がある程度の抵抗を示してくれる必要がある、ということになります。
607-2 ▼ 反抗するにも相手が必要
転じて、子供たちの「反抗」を考えてみましょう。
イライラやうっぷんを保護者にぶつける子供たちは多いですね。
イライラをぶつけるにも、ぶつける相手がいないとできません。
もっと言えば、ぶつける相手が「のれん」ではなく「壁」でないとできないのです。
自分が何を言っても、のらりくらりと聞いているのかいないのかわからないような相手には、反抗しようにもできず、ますますイライラが募ります。
相手が「壁」になってしっかりと受け止めてくれるからこそ、反抗のしようがありますし、反抗したという実感が得られます。
607-3 ▼ 相手がいるおかげで
子供たちのイライラをぶつけられる大人の側からすれば、怒りや悲しみを感じ、耐えがたいときもあるかもしれません。
でも、大人が壁になってくれるからこそ、子供たちは自分の心の輪郭を感じることができます。
壁を押した腕の筋肉が緊張して存在感を主張するように、大人にぶつけた感情とその跳ね返りが、自分の心の存在を実感させてくれます。
そうして人は大人になっていくのですね。
感情をぶつけられるのは大人だってつらいものですが、そのおかげで子供たちが自分の感情をさらけ出し、感情を客観視したり整理したりすることにつながっています。
すべての大人の皆さんの辛抱強い関わりに心から感謝をお伝えしたいなと思う、今日この頃です。
本日は以上です。
それでは、また。
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