296-1 ▼ 「一般論」が及ぼす影響
「一般論」という言葉があります。
辞書を引くと「世間に広く認められると考えられる論」と出ています。
世間の多くの人はこう考えるだろうとみんなが思っている物事、ということですね。
とても曖昧な表現です。
「世間」って何?
「多くの人」ってどのくらい?
「みんな」って誰?
・・・いずれも、明確に指し示せるものは見当たりません。
日本国土に住む人の何%がそうと思えば「一般論」と呼びます、みたいな定義があるわけでもありません。
実にあやふやな概念ですね。
ところで、このあやふやな、どこに実体があるかもわからないような概念を理解しているかいないかは、人の生きやすさにかなり影響します。
自分が共感するかどうかは別として、一般論としてこういう意見がある、ということを踏まえた言動や思考や活動ができると、人生の逆風や波風が大きく減じるのですね。
296-2 ▼ 他者の理解にもつながる
小さいうちは自分以外の人の気持ちをうまく理解できないのが当たり前ですが、小学校に上がり学齢が進むうちに、少しずつ、人の気持ちは自分とは違うということを受け取れるようになってきます。
他者を理解することの流れの一つとして「一般論」の理解が芽生えてきます。
お子さんによりますが、小学校の中~高学年くらいからだんだんと理解が進む方が多いように思います。
気持ちの理解がなかなか難しいお子さんの場合、「一般論」の理解から入ったほうがスムーズにいくことがあります。
気持ちというものは全く形がありませんが、「一般論」で扱う課題は形のあるものが多いため、捉えやすいのでしょう。
たとえば一般論の課題には以下のようなものがあります。
「小学生に人気のあるゲームは何だと思いますか?」
「人気のあるペットは何だと思いますか?」
「小学生が好きな食べ物は何だと思いますか?」
など、など。
たとえば「人気のあるペット」というと、一般的には犬や猫がパッと思い浮かぶかと思います。
ところで、自分は犬が嫌いで、自宅でカメを可愛がっている、というお子さんがいたとして、人気のあるペットは「カメ」と答えたとします。
これはお子さんの真情ではあるでしょうが、果たして「一般論」なのかどうか?というところですね。
296-3 ▼ 最終的には自分が決めること
こういう場合は、あなたはなぜそう思うのか、という理由を尋ねた上で、クラスのお友達で犬を飼っている人とカメを飼っている人はどちらが多いか確認するとか、身の周りの人にインタビューをとってみるとか、といった活動を通して、多くの人はカメよりも犬を好むらしい、という概念を提示していくのが良いのかなと思っています。
カメという答えを真っ向から否定するのも違いますし、犬という答えを押し付けるのも違いますよね(^ ^)
先述の通り、「一般論」というものに明確な正解はありません。
人気のあるペットはカメだ、という確信が揺らがないならば、それはそれで一つの選択だと思います。
「一般論として」犬は人気があるペットなのだ、ということを納得できると、それはすなわち、自分とは違う意見があるということを飲み込む経験になります。
ここを受け入れられるかどうかで、その方の生き方への風当たりは相当変わってくるように思います。
ただ、、、
高く揚がった旗には強い風が当たるのが当たり前。
穏やかに生きるばかりが人生ではありません。
誰が何と言おうとカメが好きだ!という信念を貫くのも素晴らしい人生だと思います。
大人としては、一般論を理解しろと強いるのではなく、そういう考え方もあるよ、そういう道もあるよ、とそっと選択肢を提示してあげるのが、お子さんにできるサポートの一つなのだろうなあと思っている次第です。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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