こんにちは。三輪堂の瀧本三輪子です。
今回は、0~5歳くらいの就学前のお子さんについて

・お子さんの発達の遅れに悩んでいる
・現実に自分の気持ちが追い付かない
・療育手帳を取得すべきか否か、迷っている
・「普通の」子育てができないことに悲しさ、虚しさを感じる

このような思いをお持ちの親御さんに向けて記事を書いてみたいと思います。

0~5歳のお子さんの保護者の不安の種

なぜこの年齢で区切るかというと、この頃の保護者が一番辛いのではないかと感じることが多いからです。

もちろん、どんな年齢のお子さんについても悩みは尽きないもので、お子さんが成長して次のステージに進めば、そのステージなりの新しい課題・不安・悩みが出てくるものではあります。
また、「一番辛い」という感覚は相対的かつ個人的なものなので、何が「一番辛い」かを客観的に判断するのは実際のところ不可能です。

ということを了解いただいた上で、あえて、就学前の時期の保護者が一番辛いと感じると言い切ってしまいますが、それには以下のような理由があるのかなと思っています。

★乳幼児期は成長発達が目覚ましく、できる・できないの差がわかりやすい

大人は、たとえば母国語のみ話せる人と5ヶ国語を話せる人がいたとして、見た目だけでは違いがわからないので、できる・できないがさほど目立ちません。
一方、乳幼児期は、文字が読める・読めない/箸が使える・使えない/会話ができる・できない/一斉指示が聞ける・聞けない/お絵かきの内容/身体操作の巧緻性/等、発達のベンチマークが無数にあり、しかも一つひとつのステップが劇的に大きいので、できないことが必要以上に目立つ傾向があります。

★3歳前後までに大半のお子さんが集団生活を始めるため、周囲のお子さんと比較する機会が否応なしに増える

同じ年頃の子供たちが集まる場では、上述の発達のベンチマークがより一層目立つように思えてしまうもの。
最近では、幼稚園や保育園の先生方も、特別な支援を必要とするお子さんについて丁寧に学ばれている方々が増えてきました。
それはとても素晴らしいことですが、一歩間違うと、大人たちが率先して「この子はちょっと気になる子」というラベルを貼って回ることにもなりかねません。
親御さんも、周囲の子と比較することに意味はないと知ってはいても、ついつい比べてしまうのが情というものでしょう。

★保護者にとっても我が子との付き合いがまだ浅いので、何が我が子にとってベストなのか判断しづらい

12歳のお子さんなら、親御さんとその子には12年間の付き合いがあるので、お子さんについての理解はだいぶ深まってきますが、3歳のお子さんとはまだ3年間しか付き合っていないので、理解しきれない部分も残ります。
そのお子さんが第一子であれば、保護者の育児経験自体も少ないため、なおさら悩ましいでしょう。

3歳前後と、4歳以後の差

特に3歳前後のお子さんは、自我が芽生え始めて大人に反抗することが増えたり、幼稚園等に入園した環境変化で気持ちが乱れたりして、ご本人も親御さんも苦労することが多いように思います。

でも、その状態も決して長くは続きません。

4歳、5歳と年齢が上がるにつれて、親子ともに幼稚園の生活の流れにも慣れ、ご本人のできることも増えて、だいぶ落ち着いてくるご家族が多い印象があります。

今まさにこの年齢のお子さんの育児中で、悩みを抱えているご家庭には、今が踏ん張り所で、ここを過ぎればずいぶん楽になっている可能性が高いと思います、ということをまずはお伝えしたいです。

人は誰でも必ず成長する

あくまでもわたしの個人的な肌感覚なのですが、、、
それはつまり、人は必ず成長する、ということなんだろうなあと思うのです。

親も子も、必死で手探りしながら先に進んでいくうちに、お子さんはいつの間にかできることが増えて、親御さんはお子さんに何ができて何ができないかもわかってきて、どう伝えれば相手にわかりやすいかがわかってきて、お子さんの人生経験=親御さんの育児経験がたくさん積み重なって、、、

そして、今あなたがお感じのような、先の見えない焦りや不安、何をしたら良いかわからない五里霧中の感覚はだいぶ薄れて、一つひとつの悩みを小さく切り分けられるようになり、「より対処しやすい具体的な悩み=課題」に落とし込めるようになっていると思います。

悩んでいる時は重要な判断をしない方が無難

今、悩みや迷いのさなかにある方は、今すぐ何かを判断しようとはしない方がよろしいだろうと思います。

悩みや不安で一杯になっている時は、冷静な判断がしづらいものです。
どうしても今すぐ判断しなければならない緊急事項を除いて、保留にしても構わないことは、判断を後回しにするのも戦略でしょう。

急いで判断しなくてもよいことの例

たとえばよくあるご相談に、

「周囲の人に我が子の発達障害を告知すべきか」
「療育手帳を取得すべきか」

といったものがあります。
特に療育手帳は、どういうわけか不思議な存在感があって、取得したことで気持ちに整理がついたと安心される方もいらっしゃれば、取得したために障害の現実を突きつけられて落ち込んだという方もいらっしゃいます。
手帳のメリットを享受して楽しまれる方も、将来のことを考えて一層不安になる方もいらっしゃって、取得するかしないか、どちらがよいかはなかなか判断が難しいのですね。

 

お一人おひとりの事情が異なるので、一概にはいえないのですが、周囲への告知は、「迷っている間はしなくてよい」、療育手帳は、「迷うなら持たずにしばらく生活してみよう」、と考えて、一旦やり過ごしてみるとよいのではないかとわたしは考えています。

周囲への告知については、無理に自分から話そうとしなくても、知っておいてもらった方がよい人には、自然と話す機会がめぐってくるものです。
自分が話したいと思えるまで、ほどよい機会を待ってみてもよいでしょう。

また、療育手帳は、持っていれば社会的・経済的に手厚いサービスを受けられるものですが、「持っていないと困る」状況はかなり限定されるため、今すぐそうなる可能性は低いでしょう。
親御さんの決心がつくまで待ってみても(たいていの場合は)大丈夫ですし、判断を一旦保留するという道は決して逃げではないと思います。
(※障害の程度が重く、手帳を取得することによって明らかに社会的・経済的なメリットが増すと考えられる場合は、医師等の提案に従って早期に取得を検討されることも有効かと思います。詳しくは個別の状況によって異なりますので、こちらまでご相談ください。)

 

辛い毎日を少しでも楽にする方法

とはいえ、今まさに悩んでいる方には、数年後にラクになるとしてもとりあえず今の辛さを何とかしたい、というお気持ちもおありだろうと思います。
そんな方に、辛さを紛らわせる取り組みをいくつかご提案します。

目の前の出来事を評価しない

悩みや迷いや不安は、自分の期待や思考や判断から生まれます。
モヤモヤした不安の核になっているものをよーく見つめてみると、「事実」と、「それによって想起された自分の価値観」とが一体化されたものであることが多いです。
辛さを生んでいるのは、「事実」の方ではなく、「自分の価値観」の方です。
ですから、目の前の出来事をただそのまま受け取るという思考訓練をしてみることをお勧めします。
その出来事によって生まれる自分の感情を否定する必要はないですが、その出来事を評価するのは一旦ストップしてみるとよいでしょう。

たとえば、お子さんが集団行動に参加できなかった場合、多くの親御さんは「どうしてうちの子はこうなんだろう」とか、「他の子はできているのに」とか、「どうすればもっと先生の話が聞けるようになるんだろう」とか、色々なことを思い浮かべるのではないでしょうか。

この時、目の前の出来事は「子供が
集団行動に参加せず自分のやりたい遊びを続けている」という姿です。
これに対して、大人は、「集団行動に参加できないのは良くない」「皆と一緒に集団行動に参加すべきだ」等と無意識に判断し、さまざまな感情を持ちます。
これが評価です。

出来事と評価を切り離すことができるようになると、大人自身の悩みや不安は格段に減りますし、悩みや不安が湧いても、自分でスムーズに対処できるようになります。
お子さんの様子や感覚も素直に受け取れるようになり、お子さんにどう対応してあげればよいかも自然と見えてきます。

とはいえ、これは結構難しいとお感じになる方が多いので、すぐにできなくてもご心配なく。
ただ、目の前の出来事だけを切り離してみる、自分の評価を加えない、という考え方を知っておくだけでも、だいぶ心持ちが違ってきます。

相談する相手を持つ

身近に何でも話し合える人を持つことも、助けになるでしょう。

・・・と言っておきながら、いきなり水を差すようですが、人に相談したからと言って悩みがスッキリ晴れるということはありません。
そこは過剰に期待しない方がよいです。
ただ、相手が本当に親身になって聞いてくれる人であれば、辛い気持ちが少し散らされて、気が紛れます。

胸のうちに渦巻く闇を鎮める方法はたくさんありますが、特別な取り組みが不要で、誰にでも日常生活の1コマとして行えるのが、この「人に話す」という方法です。
人に話す・話を聞くということは、その話題が持っているエネルギーを分かち合うということです。
あなたが抱えている辛さを、相手が少し引き受けてくれて、その分だけあなたは楽になれるというイメージです。
相談を聞いてくれる相手への感謝を忘れず、深呼吸しながら話してみてくださいね。

何でもよいから行動する

何かの活動に参加してみることもお勧めします。
活動に参加とは漠然とした表現ですが、お子さんのためになると自分で感じられる活動なら何でもよいです。

人は、何かやっている時には、少なくともその分だけ前に進んでいるような気になれて、不安が紛れます。
何もしていないと、立ち止まっていること自体が不安に感じられてしまうのです。
本当は、じっと立ち止まっている(ように思える)時でも、お子さんの心身の成長・発達は粛々と進んでいますので、焦る必要は全くないのですが、自分の意思で活動することに慣れている大人は、何かしていないと怠けているような、我が子のために何もしてあげられていないような、そんな気になってしまうのですね。

答えの出ない問いをぐるぐると悩んでいる時は、思い切って何かの活動に飛び込んでみましょう。
療育サポートを受けるのでもよいですし、育児サークルに参加したり、療育の通信講座を受講したり、リトミックや水泳などのお稽古事に参加したりするのでもよいでしょう。
時には、活動が広がるあまり、毎日のように予定を詰め込んで親御さんもお子さんもあちこちを駆け回っているようなご家庭もお見かけしますが、それはそれで大切なステップです。
親御さんが納得できるまで、何でも試してみてください。

そのうち、うちの子は○○は楽しんでいるけれども□□は合わないようだ、とか、週に○日は休んだ方が幼稚園で落ち着いて過ごせるようだ、とか、大人がパンクしそうだから少し活動を減らそう、とか、その親子なりの落ち着きどころが見えてきます。
そうしたら、その時その時の状況に応じて、活動を取捨選択していけばいいのです。
こうして自分たちで苦労しながら掴んだ道は、必ず将来のために生きてきます。

 

いつの間にか見えてくるもの

こうして、辛い気持ちを紛らわせながら一歩ずつ一歩ずつ歩いていくうちに、いつの間にかお子さんの成長・発達が進んで、あなたの毎日の生活がいつの間にかずいぶん楽になっていることに気づく時がきっと来ます。

その頃には、「我が家流の」育児について、何らかの思いが生まれているはずですし、物事を見つめるまなざしもだいぶ変わっているはずです。
周囲に告知するか否か、療育手帳を取得するか否かといった命題についても、今よりもはるかに冷静に必要な情報を収集し、メリットデメリットを検討するための自分の判断軸や優先順位も明確になっていることでしょう。
自分の状況が整えば、自然と周囲の状況も整って、なんとなく理想的な状況に運ばれていくことも多いものですよ。

それは数ヶ月先のことかもしれませんし、数年先のことかもしれません。
いつになるとしても、振り返ってみればあっという間だった、と思われることは間違いないと思います。
人生に起こることは全てあなたにとって必要なことなのだと信頼して、前に進んでみてくださいね。

 

この記事のまとめ

今すぐ答えを出そうとせず、思考や判断をはさまずに目の前の出来事を見つめてみてください。

★毎日が辛すぎると何事もうまくいかないので、辛さのレベルを「耐えがたい、もう無理」から「これなら何とか耐えられる」くらいまで、落とせるような取り組みを行ってみてください。

★そうしながら毎日一歩ずつ進んでいれば、いつの間にか次のステージに進んでいることに気づかれるでしょう。

あなたとあなたのご家族に、いつも明るい風が吹きますように。
心から応援しています。

この記事は、複数の保護者の方々からのご相談を抽象化してまとめ、三輪堂の個人的な意見を述べたものです。
この内容があなたご自身にとって最善とは限りません。
実践に関しては、ピンと来た部分だけをご自身へのメッセージとして受け取っていただき、使える部分をアレンジして、保護者・指導者の方々のご判断の上でご活用いただければと思います。

瀧本三輪子 拝