903-1 「大丈夫?」って何?
高機能自閉症の方が、こんなことをおっしゃっていました。
転んで血が出たり、熱い鍋にうっかり触ったりしたとき、周囲の人が「大丈夫?」と聞いてくるのが理解できない。
大丈夫なわけがない。
見てわからないのか?
「薬を持ってくる」とか「氷で冷やそう」とかなら理解できる。
「大丈夫?」の意味だけは、どうしてもわからない。
このお話で改めて気がつきましたが、確かに、「大丈夫?」は、相手を慰めたり励ましたりする以外には、現実的には “役に立たない” 言葉ですね。
なるほどなあ、と納得しました。
この方にとっては、現実的に力を持つ言葉以外は意味がないということなのでしょう。
903-2 コミュニケーションの行き違いが過ぎると・・・
この方にとっては、「大丈夫?」が苛立ちの元になっています。
一方、声をかけた側にとっては、「大丈夫?」を受け取ってもらえないことが苛立ちの元になりそうな場面ですね。
どちらが良い悪いという話ではないのですが、行き過ぎるとちょっと困ったことにもなりかねません。
たとえば、カサンドラ症候群という状態像があります。
家族や身近な人に自閉症スペクトラムがあって、コミュニケーションがうまくいかない。
また、その難しさが周囲に理解してもらえない。
そうしたことが原因で、心身に不調が現れている状態のことです。
善意で「大丈夫?」と声をかけたら、「意味がわからない」「見てわからないの?」などと返ってきた、となると、
キャッチボールをしようとしたら、相手はおもむろに顔に向かってボールをぶつけてきた!ようなもので、
声をかけた側の人は傷ついたり、腹を立てたりするでしょう。
903-3 コミュニケーションに悩んだら「まずは自分」
自閉症だ、カサンドラだといった専門用語を持ち出さなくても、こうしたコミュニケーションの齟齬には、日常生活のあちこちでぶつかります。
自分が想定していたのとは異なる反応が相手から返ってくると、反射的にムッとしたりドキッとしたり、ガーンとショックを受けたりして、感情が波立ちますよね。
もしあなたが、身近な人とのコミュニケーションの齟齬に悩まれている場合は、相手を理解しよう、相手に合わせようとするばかりではなく、【あなた自身のコミュニケーション方法に寄り添ってくれる味方を見つける】ことが、とても大事です。
その上で、言葉の使い方やコミュニケーションの捉え方が自分とは全く違う人もいるのだと、頭のどこかに置いておけると、とっさの「イラッ」「ガーン」を乗り越えて、相互理解を深める一歩を踏み出すこともできるかなと思います。
悩んだときは、「まずは自分」を大事にしてくださいね。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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