811-1 攻撃的な言動が多いお子さん
物事に過剰に反応して攻撃的な言動をとる、という男の子がいました。
たとえば気に入らない出来事に対して「装甲車で押し潰す」「爆発させる」などと言ったり、学友への悪口を一度言うだけでは気が済まず何度も繰り返し言い続けたり。
何につけても相手を責めるような表現が目立ちました。
一つひとつは「ちょっと耳障り」という程度のことなのですが、その「ちょっと」が何度も繰り返されるので、親御さんはすっかり疲れてしまっておられました。
811-2 不安の強さが形を変えて現れている
彼は予期不安が強く、「~~になってしまったらどうしよう」ということを常に気にしています。
「そうならなくてよかった」「ホッとした」ということもよく口にしました。
同時に、遂行機能(目的に向かって計画的に行動する力)がしっかりしているので、先のスケジュールを確認して頭に入れたり、忘れ物をしないように入念に準備したり、学課をきちんと終わらせたりなど、必要なことは自分で対処できています。
そのため、表面上は大きな問題なく過ごせているように見えますが、「~~になってしまったらどうしよう」という不安に対処するために、かなりの力を使って生活をカバーしていると想像できます。
周囲にチクチク刺さるような言動の裏には、ご本人の不安、緊張、自信のなさ、余裕のなさが隠れているのかもしれません。
大人が思っている以上に、彼は「日常生活を頑張っている」のだと思います。
811-3 特効薬はないけれど
仮にこの子が遂行機能にも弱さを持っていた場合、不安の強さとあいまって、パニックを起こしたり、攻撃的な言動がさらに他害的になったり、日常生活のあちこちが破綻したり、といった様子が見られたかもしれません。
幸いにもそうではなかったので、親御さんの目にうつる課題は「過剰な反応」「攻撃的な言動」という形になりましたが、この場合、攻撃的な言動を修正するような指導だけを行ってもうまくいかないでしょう。
不安や緊張を和らげてあげること、日々の努力を認めること、心と身体に余裕を持たせてあげること、時間をかけて自信を育むこと、など、穏やかな働きかけを長い目で続けていきたいところです。
なんというか、人はみな「生きることに慣れていく」必要があるんだろうな、と思います。
こうした状況に、特効薬はありません。
大人にできることは、穏やかに見守り、一緒に進み、励まし、時には具体的な生活の知恵を提供しながら、彼が自分なりに「生きることに慣れる」のを待ってあげることなのかな、と思っています。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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