730-1 クラス中に聞こえる形で指導すると
園や学校などの集団生活の中では、大人の一斉指示に従えない(従わない)子や、ルールから逸脱してしまう子もいます。
そうした子供たちに対して、先生や指導者は、時には注意したり叱ったりしなければならない場面も出てくるでしょう。
そんなときにぜひ心に留めておきたいのは、「誰に・何のために」する指導なのか、ということです。
たとえば、授業中に先生が黒板の前から、後ろのほうでボンヤリしている子に向かって「Aさん!聞いていますか!」などと声を放って注意することがあったとします。
これだと、先生がAさんを注意したことがクラスメイト全員に伝わります。
同じことが何度も重なれば、「Aさんは先生に注意されてばかりいる子」という印象が子供たちの中に生まれてくるでしょう。
730-2 ご本人だけに伝わるように
ところで、そもそもお子さんが後ろのほうで授業中にぼうっとしているようなときは、先生のお話は耳に入っていない可能性が高いです。(できれば前のほうの席に座ってもらって様子を見たいところですが、それはまた別の話として)
情報をキャッチする力に弱さのあるお子さんの場合、先生が自分に向かってものを言っていると気づかない可能性もありますし、自分が何かを言われていることには気づいたとしても、その内容まではつかみきれないということもあります。
そうなると、先生の指導は、一番伝えたかったはずのAさんには伝わらず、周囲の子供たちにだけ、良くない印象が伝わるという結果に終わります。
こういうときには、まずは先生がAさんのそばまで行って、穏やかに肩を叩くなどして注意をひいてから、静かな声で、Aさんだけに伝わるようにお話されてみてはいかがでしょうか。
Aさんも先生のお話を受け取りやすくなりますし、周囲にもAさんが叱られているという印象を与えずに済みます。
730-3 その指導は誰に・何のためにするのか
自分の話を聞かない(ように見える)子に対して大声で叱りつけるのは、大人にとっては、ある意味では爽快感のある行為かもしれません。
声を放ってエネルギーを発散することは心地よいものですし、叱るという行為によって、叱る側は正しく、叱られる側は悪いという構図を生み出すことができてしまうからです。
でも、その指導は「誰に・何のために」することなのか? をもう一度考えてみていただきたいなと思います。
大人がスッキリするためでも、自分の正義を確認するためでもなく、Aさんにとって必要な声かけをする、と考えると、注意の伝え方もおのずから変わってくるのではないかと思います。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。