Mさん(前回のMさんとは別の方です)からこんなご相談をいただきました。

一部抜粋してご紹介します。

 

 

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3歳の息子が、もよおすと、気が狂ったように錯乱します。

おしっこやウンチを出すことが怖いというとこから来ている気もするのですが、オムツだと普通なんです、、

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排泄の感覚は、とても不思議なものですね。

大人にとってはごく当たり前のものですが、小さな子供にとっては、実は恐怖や苦痛にもつながりかねない感覚です。

なぜなら、排泄の欲求は、根源的な「快・不快」につながっているからです。

 

 

 

人の身体は、膀胱や大腸に排泄物がたまると、膀胱や肛門の筋肉が緊張し、収縮します。

これが「もよおす感じ」として知覚されます。

排泄を行うと、収縮した筋肉がゆるみ、ラクになります。

我慢していたトイレに行ってホッとする感じ、どなたも覚えがありますよね。

 

基本的に、人は筋肉が収縮すると「不快」、筋肉がやわらぐと「快」の状態を感じます。

従って、排泄物がたまってトイレに行きたいと感じている時、人は無意識に「不快」を感じ、

排泄を終えると、人は「快」を感じているのです。

 

排泄は、生まれた瞬間から体験するものですから、排泄による筋肉の収縮と緩和=快不快の感覚は、とても原始的で奥が深い感覚です。

一般的には、排泄の「快」を強く受け止めるお子さんが多いのですが、

(子供たちはみんな下ネタが大好きですよね。 排泄の快感が楽しさにつながっている証拠です。)

中には排泄の「不快」を強く受け止める方もいらっしゃいます。

今回のご相談のお子さんの激しい混乱も、そこから来ているように思います。

 

 

 

さて、ご相談のお子さんは、もよおすと錯乱して激しい不安を表す、ということでした。

これは、排泄物がたまった緊張感を適切に受け止められていないのではないかと想像されます。

これも一種の身体図式の歪みです。

オムツだと普通、ということなので、お尻を包まれている感覚が安心につながるのかもしれませんね。

 

一つのご提案としては、排泄の間隔を確認しておき、そろそろトイレのタイミングだなという頃を見計らって

大人が両手で着衣の上からお子さんのお尻を包み込んであげ、軽い圧を加えてあげるといかがでしょうか。

お尻だけでなく、肩でも腕でもお腹でも、大人が触れやすくお子さんが嫌がらない場所であればどこでもOKです。

お子さんが安心できるような圧を、身体に入れてあげます。

 

着衣を下げたりトイレに座らせたりする作業もきっと苦労されるだろうと思うのですが、

お子さんが力で抵抗してくる時、「大人が力を入れすぎない」ことがポイントです。

力に力で対抗すると、お互いにヒートアップして、ケンカのようになってしまいます。

これでは、お子さんのトイレについての印象が悪くなるばかりで、

単なる身体図式の歪みを越えて、よくない形のこだわりにつながりかねません。

大人が力を入れる時は、「お子さんが入れた力を抑えられるだけの必要最低限の力を入れる」ようにします。

お子さんが力を入れたらぐっと力を入れ、力を抜いたら大人もフッと力を抜きます。

頭で考えすぎず、お子さんの勢いを手で感じるようにするとうまくいきます。

 

トイレに座った後も、太もものあたりを強めに手のひら全体で圧迫し、お子さんの身体に刺激を与えてあげます。

可能なら、お子さんに大人の手を見させたり、お子さんの手を大人の手に触れさせたりして、

太ももの刺激に意識を向けさせてあげるとなお良いでしょう。

太ももに大人の手を置いていると、暴れる子供の身体のコントロールもうまくいきやすいです。

立ち上がろうとする時は肩にも手を置いて、手のひら全体で上からじわっと押さえてあげましょう。

 

排泄の瞬間は、「シー、シー」「ウーン、ウーン」などと声をかけ、排泄の感覚に意識が向くように働きかけます。

排泄後は穏やかに褒めてあげ、大変な苦労を乗り越えたお子さんの努力を称えてあげましょう。

 

排泄の瞬間と、直後に、お子さんがどのような様子を見せるかをよく観察してみることをお勧めします。

虚脱したような様子を見せるか?

これまでの不機嫌がうって変わって上機嫌になるか?

目線は、身体の緊張感は、表情は、、、

など、お子さんが感じている身体感覚を想像する参考になります。

それによって、排泄前後の働きかけの精度をより高めることができます。

 

 

 

排泄前にお子さんが半狂乱になっているのは、

私たちが生きていく上で誰でも必ず感じる膀胱や大腸の収縮=緊張感を、

排泄欲求として適切に受け止めることができず、

何か全く異なる信号として受け止めているからなのでしょう。

その信号がお子さんにとって非常に不愉快なものであることは容易に想像できます。

排泄時に起こる筋肉の刺激を適切に受け止めるためには、身体図式を整える働きかけを日常的に行うことも欠かせません。

 

身体図式を整えるには、たとえば前回も書きましたが、腕に大人の手のひらをぴったりと当てて軽い圧をかけ、一定方向にさする。

可能ならお子さんに大人の手の動きを見させて、大人の手の温かさを腕の皮膚で感じさせる。

3歳さんではまだ難しいかもしれませんが、

「あったかいね」

「(大人の手の動きに合わせて)シューッ、シューッ」

などと大人が声かけをすることで、できるだけ意識を向けさせてあげましょう。

これを全身で行い、身体の感覚を育てていきます。

 

並行して、屋外で身体を思い切り動かして遊びましょう。

あまり厚着をさせず、できれば裸足で(感覚過敏がなければ)、足裏や全身の皮膚に刺激を与えてあげると良いでしょう。

できるようなら、腹筋を鍛えるのもお勧めです。

大人がお子さんの身体を支えて上体を下げてあげると、お子さんが頭を上げようとして自然と腹筋のような状態になります。

腹筋をさせようとするのではなく、楽しい身体の触れ合い遊びとして取り組んでみてください。

頭が逆さまになる感覚を極端に嫌がるお子さんもいらっしゃいますので、様子を見ながら働きかけてくださいね。

 

地道にこういった働きかけに取り組まれると、早い方では数日、長くとも数ヶ月で、行動に変化が見られると思います。

なかなか変化が見られない場合、問題が身体図式以外のところにあるか、

大人の援助がうまくツボにはまっていない可能性がありますので、またお問い合わせください。

 

 

 

年齢がだいぶ上がっても、オムツでないと排泄できないお子さんのお話はちらほら伺います。

排泄の感覚が育ち切っていないお子さんの場合は別ですが、

トイレでは我慢していて、オムツを履いた途端に安心して排泄する、といったお子さんの場合は、

明らかに自分の意思でオムツを選択しているわけですね。

この状況は、慣れ親しんだものを手放せない、状況を変えるのが苦手といった特性に加えて、

排泄によるプリミティブな「快」の状態とオムツの感覚が結びつき、オムツへの親しみが強化されている、とも考えられます。

ここに仮に、トイレについてのネガティブな経験(失敗して叱責されるなど)が加わると、

お子さんのこだわりはますます強くなることでしょう。

 

一般的に、年齢が上がれば上がるほど、トイレの指導には時間がかかるようになりがちです。

Mさんのお子さんはまだ3歳さんですので、トイレやオムツによくないこだわりを持つ前に

根本から行動を改善するベストタイミングであると思います。

しばらくは大人も子供も苦労すると思いますが、ここが踏ん張り時とお考えいただいて、

断固とした態度で指導を貫いてみてください。

 

おそらく、同じような事例で悩まれているご家族は数多くいらっしゃいます。

ご指導がうまくいかない場合はご相談ください

全てのご家族の穏やかな毎日を、心からお祈りしています。

 

 

それでは、また!