二次障害とは、ある障害が原因となって生み出されてしまった、別の(二次的な)障害のことを言います。
発達障害のある人々は、独特の認知特性のために、生活のさまざまな場面で困難を感じています。
知的発達に遅れがない場合は、一見すると発達に問題があるとは思われず、適切な支援が受けられないまま過ごしていることも少なくありません。
周囲にその特性が理解されずに適切な支援が受けられないと、生活全体を通じて、
・他の人はすぐできることが自分はとても時間がかかる
・他の人は上手にできることが自分にはできない
といった経験が増えていきます。
加えて、「もっと早くしなさい」「なぜこんなこともできないのか」などと、周囲から叱られたり注意されたりする経験も積み重なりがちです。
失敗してばかり、叱られてばかりで、うまくいって認められた経験がほとんどない、という生活を繰り返すと、次第に、「何をやってもうまくいかない」「どうせ自分はだめな奴なんだ」と、自分自身を否定的に考えるようになっていきます。
この「否定的な自己理解」「自尊感情の低下」が、重要な二次障害の一つです。
このネガティブな意識が土台となって、他のさらに重い二次障害が引き起こされます。
代表的な二次障害には以下のようなものがあります。
・自尊感情が低下する
・反抗的、暴力的な行動をとる
・家出、非行、犯罪行為など反社会的な行動をとる
・強い不安や対人恐怖を感じる
・引きこもり、不登校などの行動をとる
・学力や意欲が低下する
・さまざまな心身症、精神疾患を患う
外に向かえば他人に対する攻撃となり、内に向かえば自分に対する攻撃となって表れます。
自信を失ってしまった心の悲鳴が聞こえてくるような痛ましい姿です。
これらの二次障害は、早いうちに適切な支援を行うことで大部分を防ぐことができます。
完全に防ぐことが難しい時でも、その度合いを軽くすることができます。
本人にも周囲にも明るい生活を送ってもらうために、少しでも早く独特の認知特性に気づき、療育に取り組んでいただければと思います。