449-1 ▼ シールのやりとりの事例
今回は「どうでもいい一言がつなぐもの」について書いてみます。
あるグループ活動での一場面です。
シール台紙から一枚ずつシールを取って他の人に回す、という場面がありました。
A君がシールを使っていたとき、B君とC君がほぼ同時に声を挙げて、次は自分にシールを回してほしいとアピールしました。
A君は二人を見て戸惑ったようでしたが、 「タッチの差でB君が早かった気がするから」 と言ってB君にシールを渡しました。
C君は黙ってB君がシールを使い終わるのを待ちました。
以上は、どこの教室でもよくあるような、ごく何気ないシーンです。
でも、三人とも、なかなかのコミュニケーションスキルを発揮していることにお気づきでしょうか。
449-2 ▼ 優れたコミュニケーションスキルの発揮
子供たちが発揮しているコミュニケーションスキルを挙げてみると、、、
- シールを一枚取ったら台紙をすぐに回す(自分が貼り終わるまで台紙を手元にとどめておかない、台紙を回してから貼れば全体がスムーズに動ける)
- シールを言葉で要求する
- 要求に応えてその相手にシールを渡す
- なぜB君にシールを渡すかをそれとなく説明する
- 順番を待つ
など、など。
中でもここで際立っているのは、「なぜB君にシールを渡すかをそれとなく説明する」ことができた、というところです。
どちらかの友達に黙ってシールを渡してしまうこともできたでしょうが、そうすると、シールを渡されなかったほうの友達は、自分のアピールが無視されたかのような印象を受けるでしょう。
感情のコントロールが難しいお子さんの場合ならば、そこでひと悶着あってもおかしくありません。
A君が「タッチの差で早かったから」と付け加えてくれたおかげで、B君もC君もさらりと納得して順番にシールを使うことができました。
449-3 ▼ 大切なのは、周辺にあるかすかな情報
このような場面では、声かけなどは考えず、要するに全員にシールが渡ればいい、と考えることもできます。
でも、「タッチの差で早かったから」という、いわば「どうでもいい」ような、小さな一言が、その場の空気を和らげ、全員の行動をスムーズにしてくれました。
わたしたちの日常生活を支えているのは、このような「どうでもいい」一言、「ごく小さな」仕草、だったりします。
豊かで穏やかな生活を送るためには、目的の行為だけをつつがなく完遂できれば良いのではなく、その周辺にあるかすかな情報を、いかに滑らかに、ショックのないようにつないでいくか、ということにかかっているのですね。(^ ^)
本日は以上です。
それでは、また。
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