450-1 ▼ 用件そのものよりも大切なもの
前回は、A君・B君・C君がシールをやりとりする場面を例に、「どうでもいい」ような小さな一言がその場を柔らかくつないでくれたことを書きました。
▼ 前回の記事はこちら
子供たちのやりとりの実例から見る、スムーズなコミュニケーションに大切なこと
https://sanrindou-members.com/go/6091/
※ここ以下、↑の記事について引用する場面がありますので、ご一読いただくことをお勧めします。
人付き合いの苦手なお子さんは、こうした小さな一言がなかなか出てこず、ぶっきらぼうに見えてしまいがちです。
これと同じことは大人の世界でも日常的に起きています。
コミュニケーションの本質は、用件そのものではなく、その周囲をつなぐ「どうでもいい」一言のほうにこそあるのかもしれません。
450-2 ▼ 周囲にあるものを表現するのは難しい
たとえば、リンゴがここに置いてあるとします。
リンゴがあることは誰にでもわかります。
でも、その周囲にあるものを適切に表現するとなると、途端に難しくなります。
リンゴが載っている皿、テーブル、リンゴの周囲の空気、テーブルを照らす電気、テーブルの端にある花瓶・・・
どこまで説明すれば「周囲にあるもの」を説明しきれるのでしょうか?
ここで何を見て何を言うかが、その人のコミュニケーションの特徴になったりもします。
用件のみを伝えるコミュニケーションなら、「リンゴがあります」とだけ言えば済みますし、無言でシールを渡せばよかったでしょう。
でも、A君が「タッチの差で早かった気がするから」と付け加えてくれたからこそ、B君とC君は全く波風を感じることなくシールをやりとりできたのでした。
450-3 ▼ 周囲にあるものを丁寧に伝えよう
「タッチの差で早かった」という一言は、シールを渡すという用件の「周囲にあるもの」を滑らかにしてくれたのです。
リンゴやシールのような「用件そのもの」と、タッチの差で早かったという言葉がつないでくれた「周囲にあるもの」。
お子さんにコミュニケーションを教えるときには、
- 何かを手渡すときに「はい」でも「ん」でも、一言でいいから付け加えるとか
- 会話中に自分が話し出す前に「うんうん」「そうだよね」などと一度相手の発言を受けるとか
そういった「周囲にあるもの」に丁寧に光を当ててあげたいものですね。
本日は以上です。
それでは、また。
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