261-1 ▼ 優しい少年のエピソード
「初めて、締め切りに合わせて課題を全部終わらせることができました」
高校2年生の男の子さんの親御さんから伺った話です。
彼の歩みに、わたし自身もとても励ましていただきました。
親御さんとご本人にご快諾いただき、シェアさせていただきます。
彼は今、通信制の高校に通っています。
この学校は、発達障害や不登校経験があるなど、一般的な学校のスタイルにはなじみにくいお子さんのために設立された高校です。
彼は、小~中学校の間、学校になかなか発達の特性を理解してもらえず(親御さんが特性に気づいたのも中学2年生のことでした)、かなり苦労をして過ごしてこられたということです。
同級生が彼の気持ちの優しさを利用して万引きをさせようとしたり、ご本人が気づかずに社会的なルール違反を犯してしまったりと、ご本人に悪意はないものの、地域で白い目で見られるような立場になってしまうこともしばしばあったとか。
親御さんは「始終あちこちに頭を下げて回ってました」とおっしゃっておられました。
その一方で、年の離れた弟さんや身体の弱ったおじい様の面倒をよく見てくれるとか、同じクラスの不登校ぎみのお子さんが彼にだけは心を開いておしゃべりをしたとか、外国籍で日本語がうまく話せない同級生が彼のことを頼りにして過ごしていたとか、そんなエピソードも。
弱い立場の人に自然と寄り添えるお子さんなんだろうなあと思います。
261-2 ▼ 高校で学び方を教わった
そんな素敵なお子さんですが、勉強は不得手で、親御さんいわく、中学を卒業するのもやっとだったとか。
ご本人は就職を希望し、親御さんは迷っておられましたが、彼の特性をしっかり見極めたサポートをしつつ、彼の本当の良さを伸ばしてあげられるところで学ぶ道もあるのではないかとご提案し、冒頭の通信制高校に通学することになった次第です。
高校では、「初めて先生という立場の人にちゃんと話をわかってもらえた」と親御さんがおっしゃっておられました。
これまでの親子の学校生活を想像すると少し寂しい気もしましたが、素晴らしい高校に出会えたことがありがたいの一言です。
お子さんも学校をのびのびと楽しみ、通信制という学びのスタイルに少しずつ慣れていって、先生方への信頼を育んでいかれたそうです。
先生方と相談しながら学び方を身に着け、今では「〇日までにこの課題を終わらせれば〇日までに〇〇ができる」といった逆算をもとに、期限までに課題を提出することができるようになったとか。
それが親御さんの冒頭の一言につながります。
261-3 ▼ 環境の大切さ、待つことの大切さ
期限までに課題を提出するということは、特別な困りのないお子さんには当たり前にできることかもしれませんが、先の想像が難しかったり、学習に極端に苦手意識があったりすると、なかなか簡単ではありません。
こちらのご家庭でも、「なんでそんな簡単なことができないの!」といら立ちをぶつけ合うことが少なくなかったそうですが、、、
「全部本人の特性だったことがわかった今となっては息子に申し訳ない。高校に入って初めて、まともに学習している様子を感じた。今ここまで成長した姿を見られて本当に嬉しい」
と、親御さんがおっしゃっておられました。
3年次はもっとパソコンに慣れて自宅学習をしよう、と親子で話し合われたそうです(^ ^)
ご本人と親御さんの過ごしてこられたご苦労を思いながらも、環境によって人は大きく変わること、時間をかけて待ってあげることの大切さを改めて教わりました。
頼れる先生方に出会えた彼が、高校生活を最高に楽しみ、自分らしく生きるすべを学び取ってくれたらいいなと思います。
彼のこの先の人生に幸あれと心から祈りつつ。
本日は以上です。
それでは、また。
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