育休中のSさんのエピソード
会社でバリバリ活躍していたSさん。
現在は育児休暇中で、ご自宅で赤ちゃんと一緒に過ごされています。
育休に入ってしばらくは、会社のメンバーから業務内容について質問が来たりしていたのですが、だんだんそれも来なくなってきました。
Sさんにとって、育児はそれほど面白いものではありませんでした。
赤ん坊は泣いてばかりだし、育児に手を取られて自分の生活が思い通りにならないし。
正直なところ、我が子をそんなに可愛いとも思えません。
(でも、そんなことを言うと、みんなに「ひどい親だ」とか言われそうだから、黙っています。)
いつも自宅にこもって、子供に縛りつけられて、自分がどんどん社会から置いて行かれるような気持ちになってきました。
モヤモヤした気持ちをなんとかしたくて、会社の同僚に「休んで迷惑かけてごめんね」とメールしてみました。
「大丈夫だよ、こっちは何とかなるから、安心して休んでね」と返事が来ました。
同僚が気を遣ってくれているのはわかるけれど、なんだか心に不満が残ります。
いま私が聞きたいのは、そういうことじゃないのに・・・。
自分にはもう会社での居場所もなくなったのではないか。
自分には価値がないのではないか。
Sさんはとても不安になりました。
自分の価値を外部に求めないこと
人の価値は相対的なものです。
たとえば、母親は子供にとって唯一無二の存在ですが、それと同じだけの価値が職場であなたにあるかというと、、、
はっきり言っちゃいますが、ないです。
人間的に気が合うとか、あなたがいてくれたら助かるとか嬉しいとか、そういう、働く人同士の心の交流はあると思いますよ、もちろん。
でも、基本的に、会社の要員は代替が利きます。
それが会社という機構の特質です。
ですから、会社での居場所みたいなものに自分の存在価値を見出すのは、やめたほうが無難です。
母親って実はすごい存在
その点で、育児中の母親という役回りにおいて、ママさんたちは、実はものすごく貴重な体験をしているのです。
誰かにとっての絶対的な唯一無二の存在になれるという、他の場面ではほとんどありえないくらいの貴重な体験です。
世の中のお母さんたちは、ここのところをもっとちゃんと自覚したほうがいいですね。
この絶対的な立ち位置を無自覚に乱用すると、育児に依存したり、子供を意のままに操作するようになっちゃったりもします。
諸刃の剣です。
育休中の不安な心をなだめるには? 2つの道をご提案!
ではSさんにとって、いま感じておられる不安な心と付き合っていくにはどうしたらいいのかというと、2つの方向性が考えられると思っています。
【悟りの道ver】子供にちょっと合わせてみる
まず、育児というせっかくの機会をもう少し味わってみては、というご提案です。
「子供に合わせてみる」ことを試してみてほしいのです。
自分の理性を子供の本能に寄り添わせてみるイメージですね。
だんだん、母親という立場でしか味わえない調和の境地が深まってきます。
ヨガとかピラティスとか瞑想とかをやるより、よっぽど悟りが早いですよ。
【臨機応変タスクver】淡々とこなす
それが難しいようだったら、2つ目のご提案。
育児はタスクとして淡々とこなしましょう。
このとき、タスク配分にゆとりを持たせることを忘れずに。
必ず突発的な出来事が起きて、まず100%間違いなく、予定通りには進みませんから。
仕事でもそういう場面はいっぱいありますよね。
育児を、ただそういう作業だと思って、日々こなしていってみてください。
立ち位置を増やす
どちらの方法を選ばれる場合にも、同時にお勧めしたいことがあります。
それは、会社で自分が確立していた存在価値にはあまり執着せず、他の場所に立ち位置を増やすこと。
Sさんのようなタイプの方は、家にこもっていると気持ちが沈むことが多いので、どんどん外に出て、自分の好きなことをしましょう。
新しいコミュニティ、新しい人間関係を増やしていくと良いでしょう。
先は見えない、でも進んでいく
どちらでも、あなたのお好きなほうを試してみてください!
育児って、先が見えないですよね。
でも、案外、「進んでいく」ものなんです。
だからあなたも、今はとってもつらくて苦しいかもしれないのですが、
1カ月、3カ月、半年、1年と時間が流れていくと、また全然違う感情と向き合っていると思いますから。
親子が本来の才能を最大限に発揮するポイントは
その時間の流れの中では、絶対的な答えとか、これさえやっていれば絶対に大丈夫とか、そういう安心を求めるのではなくて、
「今、自分はどう思うかな?」
「今、自分は何をやりたいかな?」
を追いかけていってあげてください。
自分に素直に、大切に向き合う「今」を積み重ねていったら、必ず、間違いなく、
1カ月、3カ月、半年、1年と時間が流れていった先のあなたとお子さんは、生命が自然に輝く笑顔を笑っていますから。