986-1 コミュニケーションが苦手なS君
コミュニケーションが苦手な中1の男の子、S君。
彼は他の人とやりとりすることが極端に苦手で、不安が強く、どこに行くにもずっと親御さんと一緒に行動していました。
そんな彼が、一人で行動できるようになったきっかけが、「理容室」でした。
その理容室は、昔ながらの、青・白・赤の3色ポールがクルクル回っていて、無骨な親父が無骨な親父の髪を切る、みたいなところです。
お店では、基本的にみんな黙っています。
大将が寡黙な人らしい。
他の理容師さんもみんなおしゃべりはしません。
お客さんがしゃべれば、もちろん受け答えはされますが、理容師さんのほうからしゃべることはほとんどないらしいのですね。
986-2 町の理容室で
で、S君がお店に入ると、
「五分刈りでいいの?」
(S君うなずく)
これだけ。
あとは、「メガネ外して」とか、必要なことを言われるだけで、無言で頭を刈ってもらって、無言でお金を払って、ペコリと頭を下げて終わりです。
このお店では余計なことを話さなくていい、という安心感からか、S君はお店に一人で行けるようになりました。
それをきっかけに、徐々に一人で行動できる範囲が広がってきているのだそうです。
986-3 自分だけのスキマを探そう
生き物は、地球上のあらゆるスキマを選んで生活しています。
高い木の上、広い草原、湿った葉の陰、濁った水の中、澄んだ流れの中、土の中、砂の中・・・
その場所を選んだ生き物は、その場所でしか生きていけませんが、その場所では他の誰よりもいきいきと動きます。
生き物の力を最大限に引き出すのが、その場所です。
S君は「コミュニケーションが苦手」と書きましたが、それは一面からの見方に過ぎず、実際は、彼のコミュニケーションを引き出せる環境が少ないということなのかもしれません。
人にも、必ずどこかに、自分が居心地よく過ごせるスキマがあります。
人の社会がこれほどまでに細分化された今、自分にとってのスキマを選んで生きていくことが、自分が思っている以上に大事なのかもしれませんね。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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