幼児語には賛否両論ありますが
今日は、「幼児語」について書いてみます。
小さな子供に向かって、「よちよち、どうちたのかな?」「ワンワン、かわいいでちゅね」など、大人が幼児語で語りかけることがありますね
これについては、否定する立場の人もいれば、肯定する立場の人もいます。
否定する人のご意見は、子供を一人の人間として扱っていない、正しい言葉が身につかない、などなど。
肯定する人のご意見は、自然な愛情を示すのにふさわしい、などなど。
色々な意見が飛び交っています。
わたしはどちらかというと肯定の立場です。
が、否定する立場の方のご意見も一理あると思います。
どちらの立場であっても、保護者が自分の信念に従ってお子さんに関わっていけば良いと思っています。
子供の心に届きやすい
さて、わたしがなぜ幼児語を肯定するかというと、そのほうが子供の心に届きやすいのではないか?と感じるからです。
たとえばわたしの娘が2歳だった頃、「座って」と声をかけても、「お座りトン」と声をかけても、どちらでも座ってくれました(気が向けば、ですが)。
ただ違うのは、「座って」の時は黙って座るだけですが、「お座りトン」の時は、「おちゅわりトン」と自分で口にしながら座ります。
当時4歳だった息子も、「手を脇につける」は復唱しなくても、「手をピタッ」は自分から復唱したり使ったりしていました。
保育園の先生の声かけ例
わたしの子供たちが通っている保育園の、乳児クラス(0~2歳児)の先生方も、幼児語で働きかけている場面をしばしば目にしました。
たとえば、
「もう『おちまいまい』だよ」=もうおしまいだよ
「『あぎあぎ』してごらん」=よく噛んでごらん
など。
多くの子供たちと日常的に接している先生は、やはり子供たちに伝わりやすい・わかりやすい言葉を自然に選んで働きかけておられるように思います。
「おしまいだよ」でも意味は通じると思いますが、「おちまいまいだよ」と言うと、心地よいリズムがついて、なんとなく楽しい気持ちになります。
今やっている楽しい遊びをやめたくないと思っている子供たちの心に、より身近に寄り添えるような気がしますね。
「あぎあぎ」という言葉は、最初聞いた時は何のことだかよくわからなかったのですが(笑)、理由がわかるととても良い言葉だと思いました。
「あぎあぎ」と発音すると、「あ」は口を開け、「ぎ」は奥歯がほとんど噛み合う状態になりますよね。
つまり、ものを口に入れて「あぎあぎ」すると、自然とものを噛むことになるのです。
「噛んで」という動作語がピンと来ない小さな子供たちには、「あぎあぎ」を真似てもらう方がスムーズなのだなと納得しました。
言葉で心に寄り添う
もちろん、生活の全体が幼児語だけで終わるのは、言葉の伸びを支えるためには少々足りないところもあります。
たとえばサ行を発音しづらいお子さんには、「おちまいまい」ではなく「おしまいまい」などサ行をはっきり発音して聞かせてあげたほうが良いかと思います。
何でもかんでも子供っぽく話せば良いというものではありませんので、状況に応じた配慮は必要です。
が、特に小さなお子さんや、言葉がなかなか口に出ないお子さんには、擬音や、柔らかい言葉を多用した幼児語は、心に届きやすい音なのかもしれない、と思っています。
あまり硬く考えず、時には柔らかく話しかけてみるのも良いのではないでしょうか。
言葉は、人の心と心の触れ合いの象徴です。
幼児語を上手に活用して、お子さんの心に寄り添い、言葉の伸びを支えてあげられると良いですね。
- 療育のセカンドオピニオンが欲しい方
- 一般的な療育支援分野とは違う角度からアドバイスが欲しい方
- 漠然とした不安や言葉にしづらい”何か”があってクリアにしたい方
ぜひ一度「オンラインセッション」にお声掛けください。
育児・療育は親子の育ち合いです。
お子さんのお話だけでなく、親御さんのお話を伺うことも大切な時間です。
うまく書けない・しゃべれないと思う方もご安心ください。
ゆっくり丁寧にあなたの中にある”何か”を引き出します。