640-1 「うちの育児はうまくいっていない」?
昨日まで手の発達について書いてきて、改めて、育児療育とは奥の深い関わりだと感じました。
手の不器用さは生活面での影響が大きいので、大人のほうも、ぜひなんとかしてあげたいという思いを強く持ちます。
そうすると意識が手の不器用さに一点集中して、苦手な動きをたくさん練習しようとか、鉛筆で書くドリルをやってみたりとか、そういう方向に行きます。
ここに「小学校に入学するまでに」のような期限設定が加わると、さらにエンジンがかかります。
エンジンがききすぎて、焦ったり不安になったり、「こんなにやってもできない」とがっかりしたりすることになるわけです。
そうしたご家庭は、「うちの育児は全然うまくいっていない」などと感じてしまわれがちなのですが、本当にそれは「うまくいっていない」のでしょうか?
640-2 一点集中して見る/広く見る
たとえばしゃがみ込んで虫メガネでアリを見つめるときと、立ち上がって腰を伸ばして目をあたり全体に投げるときとでは、全然違うものが見えますよね。
育児も、一点集中して見るときと一歩引いて広く見るときでは、物事の受け取り方がまったく変わってきます。
育児で「一歩引いてみる」ための手段の一つが、発達の全体像を知る、発達の段階を追ってみるということだと思っています。
手の機能が育つことを長いスパンで捉えてみると、今まで狭い一点に集中していた視界が急に広がって、これまでとは違うものが見えてきます。
そこで何が見えるかはその人ごとに異なります。
ぜひ、あなた自身、あるいはあなたが支援されているご家族自身の、それぞれの視野を大切に受け取ってあげてください。
640-3 うまくいく育児のコツとは
鉛筆で書けない今という瞬間を切り取れば、「鉛筆で書くことができないからうまくいっていない」のかもしれません。
一方、その瞬間を、発達の流れという全体の中に置けば、それは「進み続けている子供の育ちのワンシーン」となります。
これは育児に限った話ではありませんが、一点に集中する状態と、一歩引いて広く見る状態は、どちらも大切です。
どちらにいるから良い悪いという話ではなく、どちらが欠けてもうまくいきません。
一番大切なのは両者のバランスです。
自分が今どのあたりに立っているかを感じ取りながら、もう一方とのバランスを柔軟に取り続けていくこと、これが「うまくいく育児」のコツなのだろうなと思っているところです。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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