639-1 細かく知れば、細かく見えてくる
これまで、人の手の発達を6つの段階に分けて、ざっとご紹介してきました。
「手が不器用」と一口に言われる中にも、一人ひとりの細かい違いがあることがご想像いただけるかと思います。
発達の順番を知ることで、お子さんの手の状態像がもっと細かく見えてくるでしょうし、お子さんが何に困っているかも想像しやすくなるでしょう。
身体の土台から育んだ力は、表面的な練習では獲得できないような総合力、応用力、全体を横断する力として、その子の歩みを支えてくれます。
639-2 不器用が悪いのではない
前回の記事で、跳び箱が跳べない子は「全体を統合する」力がうまく働いていないのかも、と書きました。
実をいうと、わたし自身も跳び箱が跳べません。
ロイター板(踏切板)に踏み込むタイミングがわからなくて、いつも助走のスピードを殺してしまいます。
また、「3.手指のイメージを育む」遊びとしてご紹介した「どの指に触った?」は、足の指でやってみると、大人も意外と難しかったりします。
足の中指・薬指・小指あたりになると感じ分けがつかない、という方もいるのでは。
それはつまり、その3本の指を全部漠然としたひとかたまりとして脳が認識しているということです。
でも、たとえ跳び箱が跳べなくても、足の指がピンと来なくても、わたしたちは問題なく(たぶん)生活できていますね。
ある程度不器用でも、ほどほどに折り合いをつけて社会生活を営んでいくことは十分にできますし、必要なら大人になってからでも不器用を改善していけます。
639-3 自分の手や身体を信頼する
手の器用さを育む、というテーマで書いてきましたが、大切なのは、何かができるようになることというよりは、自分の手や身体を信頼する気持ちを育むことです。
手や身体から広がっていく自分の世界を楽しみ、周囲の世界と関わりを持ち続けていけば、生きることはもっと豊かになっていくでしょう。
ご紹介したどの遊びも、「これをできるようにならなくては」などと思っていただく必要はありません。
子供と大人の穏やかな関わり合いの中で、手を使うことが楽しいと感じられれば、それが一番です。
自分の手や身体の使い方、自分の手や身体に対する向き合い方は、その人が自分自身に対して持つ信頼感や自信の相似形です。
子供たちが(大人たちも)、自分の手や身体を使うことを楽しみ、自分自身を信頼して歩いていくために、今回のシリーズ記事が何かのヒントになれば幸いです。
本日は以上です。
それでは、また。
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