チームに貢献する場としてのゲーム
前回は、自尊心を育むための場作りとして、「チームに貢献する」という場面をご提案しました。
今回はその続きです。
チームへの貢献を体感する具体的な方法として、「スプーンで球を運ぶゲーム」をご紹介します。
運ぶもののサイズや性質を変えることで大きく難易度が変わるため、各自の戦力の調整がしやすいのが特徴です。
ゲームの複雑さも調整しやすく、参加者の特徴に応じて「チームに貢献する度合い」をより深めることができます。
ゲームを調整して参加者に合わせた内容を工夫する
負荷を弱くする(簡単にする)には
バランスが取りやすく運びやすい状況をつくる
- 大きくて深いスプーンを使う
- ゴルフボール、大き目のスーパーボールなど、重みのあるものを運ぶ
- 紙を丸めたもの、毛糸を巻いたものなど、形がいびつでガサガサした手触りのものを運ぶ
負荷を強くする(難しくする)には
風の抵抗を受けやすくバランスが取りにくい状況をつくる
- 小さくて浅いスプーンを使う
- くぼみのないもので運ぶのも可(うちわ、下敷きなど)
- 膨らませた風船など、軽くてかさばるものを運ぶ
- 運動神経に自信があるなら、衝撃ですぐ割れる水風船や本物の卵(賞味期限切れのものを!)を使うのも盛り上がります
ルールの複雑さを調整して貢献できる場を膨らませる
運ぶ難易度に応じて得点をつけるのもお勧めです。
運ぶ難易度の高いメンバーは高得点が取れるがスピードが遅い、運ぶ難易度の低いメンバーは得点は低いがスピードを稼げる、といった状況が作れます。
また、障害物を設置して、くぐらないと通れない(=小柄な人が有利)、慎重に進まないと通れない(=足の速い人の有利さを均等化する)、風を当てる(=風で飛びにくいものを運んでいる人が有利)、といった関門を設けるのも良いでしょう。
条件が複雑になると、参加のハードルが上がる可能性もありますが、さまざまな特性を持つ人がそれぞれの良さを生かして活躍する(=チームに貢献する)ことがしやすくもなります。
参加者の発達段階や特性に応じて、ゲームの複雑さを調整すると良いでしょう。
最もシンプルなチーム戦の例
ご家庭で遊ぶには、たとえば、お父さん(負荷強)vs お母さん&お子さん(負荷弱)、のように、人数にも負荷にも差をつけてみましょう。
「お父さんがティースプーンに風船を載せて2往復する間に、お母さんとお子さんがお玉に紙を丸めたものを載せて1往復ずつ」のような対戦にすると、お父さんが真剣に頑張っても結構良い勝負になったりします。
お子さんに合わせてさまざまな練習の機会を作れます
このゲームは、運ぶ品物の水平を保ちながら、自分が前進する勢いに乗ってバランスを取り続ける必要があります。
常に変化する状況に対して柔軟に身体を合わせていくわけですから、身体の使い方や社会性の練習としても、とてもお勧めです。
スプーンを水平に構える動きが難しい場合は、お子さんの身体の使い方に合わせて、トングで挟む、お盆を両手で持つなど、道具を微調整することも検討してあげてください。
負けることが苦手、勝敗にこだわるといったタイプのお子さんが参加する場合は、基本的には最初はその子が参加しているチームが勝てるようにすると良いかと思います。
慣れてきたら、自然な形で、負ける体験もできると良いですね。
チームで協力する良さを味わおう
ゲームやスポーツは、えてして「勝つこと」が目的になりがちですが、今回の目的は勝つことではなく、チームで協力し合うことです。
勝負の後に、チームメンバー同士で、お互いの努力や良かったところをシェアし合いましょう。
〇〇の局面で素晴らしい追い上げを見せたとか、チームメンバーの失速をうまくカバーしていたとか、その子の良かったところをたくさん伝えてあげましょう。
可能なら、お子さんにも、チームの良かったところを表現してもらいましょう。
他者の良いところを見つけられる子は、自分の良いところも自分で見つけられます。
チームで行動すると、自分一個の力を越えた力を出すこともできるもの。
お子さんにその良さを少しずつでも体感してもらえればと思います。
このゲームは準備も簡単で室内で取り組みやすいので、ぜひご家族で楽しんでみてくださいね。
本日は以上です。
それでは、また。
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