619-1 ▼ 始点から終点に滑らせる動きを育む
前回は、文字を書く土台になる力について、こんな記事を書きました。
今回はその続きとして、具体的な練習方法を書いてみます。
なぐり描きの段階では無軌道に動かしている腕を、次のステップとして「始点から終点に滑らせる動き」に育てていきたいところです。
そのために、「一定の軌道を通ってモノを滑らせる」ツールを使ってみましょう。
619-2 ▼ 一定の軌道を通ってモノを滑らせるツール
たとえば、特別支援学校などでよく使用されるのは、板にくぼみやレールをつけて、その上をモノが移動する教具です。
決まった軌道の上を端から端までモノを動かすことで、線を引く動作につながる動きを体得していくことを目的としています。
移動するモノは、握りやすい半球状の木材だったり、指先で操作しやすい大きさだったり、目が向きやすい赤い色がついていたりと、ご本人の発達段階や認知特性に応じて微調整します。
滑り方も、軽く滑ったほうが動かしやすいこともあるし、滑り方に抵抗があったほうが動かしていることがわかりやすいこともあります。
こうした「動きの受け取り方」もご本人に合わせて調整したいところです。
同じ考え方で、「ワイヤーにビーズを滑らせる」道具もあります。
こちらのほうがご家庭で自作しやすいかもしれませんね。
619-3 ▼ その子の現在地に合わせた支援を
太いワイヤーに大型のビーズやナットなどを通して、始点から終点に向けて移動させます。
ビーズが勝手に滑り落ちるのではなく、自分の手で動かす体感が必要なので、程よい抵抗を感じながらビーズを滑らせることができるようなワイヤーの太さ・ビーズの穴の大きさを工夫しましょう。
ワイヤーにビニールテープや毛糸を巻くと、太さや動きの抵抗を調整できます。
ワイヤーの形を変えることで、角のある形やカーブした形なども練習できます。
こうした練習を通して線を引く動作を引き出しつつ、姿勢の維持、見る力、受け取る力、指先の使い方など、その子の身体の力が一つずつ育まれていった先に、鉛筆を持って文字を書くというスキルが身につきます。
「文字を書かせたい」という大人の希望だけで先走らず、お子さんの中から「今、芽生えようとしているもの」を大切に見つめてあげていただけたらと思います(^ ^)
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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