584-1 ▼ 漢字が苦手なお子さんと塾の先生
あるお子さんのエピソードをご紹介します。
そのお子さんの学習塾では毎日漢字の宿題が出ます。
1つの熟語を、漢字ノート1行が埋まるまで繰り返し書き、熟語の種類は10~20個ほど。
お子さんは漢字を繰り返し書くのが苦手で、かんしゃくを起こしたり、泣いたり、ノートをぐちゃぐちゃにしたりと、毎回大騒ぎしながら宿題に取り組んでいたのですが、見かねた親御さんが「漢字の繰り返しを2回にしたらどうか」と提案しました。
書く回数が減ったおかげでお子さんのかんしゃくは減り、ずいぶん落ち着いて漢字学習に向き合えるようになりつつあったそうです。
そんなある日、塾の先生が漢字ノートに「もっと頑張ろう!回数増やすよ!」とコメントを残されました。
それを見たお子さんはかんしゃくの大爆発を起こしてしまいました。
親御さんも、先生のコメントが無神経だと感じられ、親子のこれまでの頑張りをすべて否定されたような気になった、と大変がっかりされたそうです。
584-2 ▼ 善意でも、すれ違うことがある
先生はお子さんに発破をかけて励ますつもりでコメントを書かれたのだろうとは思いますが、そうでなくてもギリギリのところで頑張っていたお子さんにとっては、ちょっと表現が噛み合わなかったかもしれませんね。
真面目で頑張り屋さんタイプのお子さんは、ほどほどに手を抜くということができにくいことが多いですね。
自分がどんなにつらくても、1行書かなくてはいけないから書く。でもやっぱりそれはつらいから感情が爆発してしまう。そんな悪循環からなかなか抜け出せないことも。
先生のコメントに他意はなく、より良い学びの世界を追求しようという熱意からのものだったと思います。
塾の特色にもよるでしょうが、受験や進学に向けた成績アップを目指す塾ならば特に、強めに発破をかけることも当たり前にあるだろうなと想像します。
それが、ほんのちょっとした事情のすれ違いで、お互いの心の齟齬にまで発展しかねないとすれば、とても残念なことですね。
584-3 ▼ お互いに歩み寄ることを恐れずに
こういうときはぜひ遠慮せず、先生にお子さんの現状をご相談されることをお勧めします。
もし視覚認知や指先の使い方に困りのあるお子さんならば、漢字を繰り返し書く練習法は害にこそなれ、益することは全くないという事態にもなりかねません。
先生は「漢字をたくさん書くことが良いこと」だと認識しておられると思いますので、お子さんがどれほど苦労して漢字を書いていたかを知れば、練習の仕方や励まし方も変わってくると思います。
お互いにお互いの状況を打ち明け合い、共有し合うことで初めて、お互いの共通理解が育まれます。
なんとなく遠慮して自分の意見を飲み込んだり、言っても無駄だと諦めたり、することもあるかもしれませんが、自分も相手もより居心地よく過ごせる世界のためには、お互いに歩み寄ることを諦めずにいたいものですね。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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お子さんのお話だけでなく、親御さんのお話を伺うことも大切な時間です。
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