563-1 ▼ 人は環境に合わせて身体を変える
先日、低くて薄暗くてゴツゴツした、洞窟のようなトンネルに、ぞろぞろと人が入っていくのを見る機会がありました。
興味深く思ったのが、みんな頭上を気にしながら歩いているというところです。
トンネルは高さ2mなので(入口にそう書いてありました)、理屈の上ではよほど長身の方でもまっすぐ歩いていっても問題ない高さなのですが、ほとんどの人が腰をかがめたり、頭をかばったりしながら歩いていました。
実際、そういう穴に入っていくことを想像すると、なんだか圧迫感がありますよね。
一方で、広々とした草原や海岸に立つときには、思い切り手足を伸ばして寝転んだり伸びをしたり走り回ったり、全身で開放感を味わう人が大勢いるだろうと思います。
このように、人は周囲の環境に合わせて自分の身体を変えます。
563-2 ▼ 育児も一種の環境条件
自分の身体を調整することで、周囲からの情報を適切に受け取り、環境に適応してその場を過ごすことができるとも言えます。
逆に言うと、周囲の環境は、自分の心身のありように、自分が思っている以上に影響しているということです。
ひるがえって、「ちょっと手のかかる子」を育てている親御さんについてです。
育児は多かれ少なかれ手のかかるものですが、特別な配慮の必要な子の育児は、やっぱり大変です。
- レジで会計中に一瞬手を離したら店を飛び出していってしまった
- バスを見たら乗るまで大声で騒ぎ続けるので外出はバスの時刻表との戦い
- 公園で他の子とトラブルばかり起こすので行くのが怖い、気が重い
などなど、、
どんなご家庭にもさまざまな泣き笑いのエピソードがあると思います。
563-3 ▼ 「ちょっと手のかかる」部分が与える影響の大きさ
そうした育児の一コマは、一つひとつは小さなことかもしれません。
誰かに相談するほどのことではないと自分の中に飲み込んだり、うまく子育てができない自分を責めたり、我が子に苛立ちを感じたりする親御さんも多いと思います。
でも、冒頭の例のように、たかだか天井が低いだけで、たかだか空間が広いだけで、人の身体から自然と生まれる行動・感情は大きく変わってきます。
それなら、お子さんの特性という「環境条件」が、保護者の身体から自然と引き出している行動・感情があるはずです。
育児の「ちょっと手のかかる」部分が、無意識に保護者に与えている影響の大きさを、もっと世の中の多くの人が(親御さんご自身も含めて)理解し合えたらいいなと思います。
もしかしたらあなたの育児は、低くて薄暗くてゴツゴツした洞窟のようなトンネルに、頭上を気にせず背をまっすぐ伸ばして入っていくことを求めているようなものになっているかもしれません。
誰でもそんなトンネルに入るときは無意識に頭をかばうものだと知れば、育児にまつわる遠慮や、罪悪感や、負担感が、ふわっと形を変えていくかもしれないなと思います。
本日は以上です。
それでは、また。
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