709-1 文章を読めているのに内容を理解できない?
文章は読めているのに、内容を理解できていない、というご相談があります。
こうしたお子さんを支援される際には、文章を「読めている」といっても、読めている度合いには段階がある、ということを念頭に置いてみることをお勧めしています。
音読や文章理解に困りのない子は、文字を目で追って読み上げながら、同時に言葉の塊や意味を捉えることができています。
一方、「読めている」ようでも、プロセスのどこかにつまずきがある子は、読みながら同時に内容を理解することが難しいことがあります。
709-2 どこまで「読めている」? つまずきの例
プロセスのつまずきは、たとえば次のような例があります。
1.文字を音に変換することが苦手
いわゆる逐次読みになり、たとえば「りんごがあります」という文章を「り、ん、ご、が、あ・・・」と一文字ずつたどたどしく読むような様子が見られる。
特殊音節の読みが定着しづらいことも。
2.単語をまとまりとして捉えることが苦手
これも同じく逐次読みになることが多い。
その言葉がいくつの音でできているのか、どんな音がどんな順番で並んでいるのかがわかりにくい。
しりとりや逆さ言葉が苦手な場合も多い。
3.目で文字を追うことが苦手
同じ行を繰り返し読んだり、行を飛ばして読んだりする。
数字や記号を見分けられなかったり、形の似た文字を読み間違えたりする。
黒板の字を写すことや球技など、目と手を同時に協力させて使うことが苦手なことも多い。
4.見て覚える・聞いて覚えることが苦手
見たもの・聞いたものを一時的に頭の中に置いておくことができず、すぐ忘れてしまう。
(前の内容の理解が頭の中に積み上がっていかない)
5.語彙がない
別の言葉を当てはめて読んだり、アクセントやイントネーションがおかしかったりする。
文章だけでなく、会話でも、何回か同じ話を聞いても理解できないことがある。
など。
709-3 今のお子さんの様子を観察するところから
たとえば、自分で問題文を読み上げると、とても時間がかかるお子さんがいたとします。
その同じお子さんが、「大人が読み上げた文章を聞けば問題が解ける」という場合、その子は単語や内容は理解できているということになり、その子の苦手さは文字を音に変換するところにあるとわかります。
「文章は読めている」と一括りにしてしまうと、細かい部分を見逃します。
前項の例で言えば、3のお子さんは視覚機能に、4のお子さんはワーキングメモリに弱さがあり、改善するにはそれぞれ全く違う練習をすることになります。
ここを押さえないまま、ただ何度も繰り返し音読させるといった働きかけは、お子さんに苦痛を強いるだけになってしまいます。
「読めている」にも段階があることを念頭に、お子さんの日頃の様子をよく観察してみていただけたらと思います。
本日は以上です。
9/18(日)・19(月祝)は配信をお休みします。
次回は9/20(火)です。
それでは、また。
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