582-1 ▼ 「指を使って計算してはいけない」
前回の「さくらんぼ計算」つながりで、算数のことを少し。
「指を使って計算してはいけないと先生に言われた」というご相談がありました。
先生のご指導の前後の文脈やお子さんの個別の状況がありますので一概には言えないのですが、以下、あくまでも一般論として書いてみます。
指を使って計算するということは、そのお子さんは数を「順番」として捉えていると考えられます。
たとえば 6+5=11 という計算をするのに、6の次の数字である「7」からスタートして5つ分の数を数えると、「7、8、9、10、11」となり、答えは11。
指を使うとこういう計算方法になり、数え足しとも呼ばれます。
※言うまでもありませんが、数え足しができるのもとてもすごいことです。さまざまなスキルや理解の積み重ねがあって初めて数え足しが実現できます。
582-2 ▼ 今の方法を手放すには、新しい方法を身に着けてから
算数学習では、数を順番で捉える次のステップは、数をかたまり・量としてとらえることです。
数え足しでは数が大きくなった時に対応できません。
時間もかかるし、間違いも増えます。
答えが20を越える足し算くらいからは、数え足しを卒業できたほうがスムーズです。
先生の「指を使ってはいけない」というご指導も、そのあたりを踏まえてのことではないかと想像します。
ただし、指を使うなと指導するならば、代わりの方法をしっかり教えるべきです。
そのための一つの方法がくだんの「さくらんぼ計算」なのですが、前回も書いたようにさくらんぼ計算は向き不向きがありますし、数を順番で捉えている段階のお子さんにはさくらんぼ計算はまだ早いです。
一斉授業でさくらんぼ計算を教えただけで「指を卒業しろ」と言うのはちょっと乱暴です。
その子が理解できて実際に使いこなせる計算方法が身に着いてから、「もう指を使わなくても計算できるね」、というのが丁寧な関わりというものではないでしょうか。
582-3 ▼ 目的を明確にしてから道を探そう
小学校の普通級でどこまで個別に丁寧な関わりができるのかという議論、現場の先生方のご負担は重々承知した上で以上のことを書いています。
何度も書くようですが、療育には「いろいろな方法がある」ということです。
決まった道を通らなければいけないことは決してありません。
わたしたちは往々にして、その道を歩くことが目的になってしまい、目的地を見失うことがあります。
目的地が明確ならば、そこにたどり着くための方法を工夫することができます。
算数学習というミクロな視点でもそうですし、大きく療育そのもの、人生そのものにおいても同じことです。
あなたやお子さんの目的は何か? をまず明確にして、そこに向かうことのできる道を見つけていただけたらと思います。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。
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