322-1 ▼ ふと思い出した、ある書籍のこと
津守真先生という方が書かれた、『乳幼児精神発達診断法』という本があります。
60年代に書かれたものなので内容が古い部分もありますが(電話の描写が黒電話式だったりとか)、今でも学ぶべきところが非常に多いご本だと思います。
(一般のご家庭向きというよりは、専門家の方向きです)
内容はもちろんですが、子供の発達に対する津守先生のまなざし、診断項目を構築するまでの考え方、親子というもの、主体と客体の捉え方、診断そのものに対する捉え方など、決して長い文章ではないのに、あらゆる角度から深い洞察と学びを伝えてくださるご本です。
だいぶ前に一読したきりほとんど忘れていたのですが、昨日、ちょっとしたきっかけで、こちらのご本のことが急に頭に思い浮かびました。
改めて読み直してみて、印象に残ったところをご紹介いたします。
322-2 ▼ 「人間として育つ」
—以下、津守先生のご著書より引用—
※ただし改行は瀧本
私は現在、障害をもった子どもの保育の実践の場で日々を過ごしている。
そこでは個々の能力を伸ばすよりも、子どもが人間として「育つ」ことを考える。
この後者ができていれば前者はそれに伴って容易になしえられるが、前者だけを考えると子どもの生活に無理が生じる。
育つというのは、保育する大人との関係の中でなされることである。
—以上、引用終わり—
人間として育つ。
発達に特性のあるお子さんを見守るとき、わたしたちはついつい、一般的な発達の尺度に当てはめて、遅いだの早いだのと判断しがちです。
そして、それこそ「能力を伸ばす」ためにあれこれと関わろうとしがちなのですが、、
本当に大切なことは、この津守先生のおっしゃる「人間として育つ」に集約されるのだろうなあ、と改めて思ったことでした。
322-3 ▼ 育つということの4要素
津守先生はこうも書かれています。
私は育つということを、
(1)存在
(2)能動性
(3)相互性
(4)自我
に要約して考えている。
こちらの4項目のそれぞれについて書かれたことがまた、非常に含蓄の深いことばかりなのですが、全部説明していると相当長くなってしまうので、ご関心がおありの方はぜひ直接ご本に触れてみていただければと思います。
※本はすぐには手に入らないけれどどうしてもこれについて聞いてみたい!という方がいらっしゃいましたらメッセージください、なんとか要約してみますので。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。