こんにちは。三輪堂です。
面白く生きる連載、203通目です。
203-1 ▼ できない=不十分な状態という価値観
苦手なことを練習する人は多いですね。皆さん熱心に、できないことを克服しよう、何とかしようとなさいます。
その奥にあるのは、できない=不十分な状態、という価値観です。
発達に偏りがあるお子さんの場合は特に、いわば極端な得意不得意があるような状態ですから、学齢相当のことができるようになるべき、できればなったほうが良い、といったような無言の圧力が、親御さんにも集団(学校など)にもかなりあるように思います。
個別の教育支援計画でも、「~~ができるようになってほしい」を書く欄はあるけれど、「今すでにできていてor優れていて、さらに伸ばしたいところ」を書く欄は基本的にありません(独自にそのような記入欄を設けている園・学校があればぜひフォーマットを拝見したいです)。
この書式ひとつを見ても、できないところを底上げしてあげるのが焦点になっていることが伝わってきます。
203-2 ▼ 頑張る方向だけを見ているのでは不十分
それでみんな一生懸命頑張っていて、それはとても素晴らしいことではあるのだけれど、頑張る方向性ばかりを見ていて良いのだろうかな?と思うことがあります。
確かに、小さい子供は、「大化けする」ことがあるのですよね。すごく苦手だったものが、コツをつかんで急に上手になったりします。
そういう可能性があるので、最初から諦めて全く練習しないというのもちょっと残念ではあるのですね。
ですから、みんなで一緒に頑張る時期があるのは素晴らしいことだと思います。
でも、何事も、片側だけ見ているのでは不十分です。
たとえばご自身の経験を冷静に振り返ってみてください。あなたが高校生の時に数学が苦手だったとして、30代40代50代になった今、苦手克服のために数学を毎日勉強するでしょうか?
もちろんする人もいるでしょうけれども、多くの人は数学を意識して生活してなどいないのではないでしょうか。
大人になった今では、数学は得意な人に任せておけばいいということがわかっているからです。
203-3 ▼ それぞれが自分の得意なことを持ち寄り活かす
今は、社会全体の流れが、一人で全てをこなすのではなく、それぞれの得意なものを持ち寄って支え合うスタイルに変わってきています。
苦手を底上げするのもある程度は大事、でもそれ以上に、得意を伸ばすことのほうが、もっとずっと豊かで、身体の原理原則に素直に基づいた過ごし方ができます。
たとえば、ごく単純な反復運動で検証すると、「動いていないところ」を認識していくと身体は固く強張っていき、動きにくくなっていきます。逆に、「動いているところ」を認識していくと、その動きがどんどん広がって、より深く、無理のない動きができるようになっていきます。
動いていないところ=できていないところを焦点にして頑張るよりも、動いているところ=すでにできているところを気にかけて伸ばしてあげるほうが、身体は素直に喜んで伸びる。そんな姿が浮かび上がってきます。
もちろん、頑張ることは素晴らしい経験です。何かに夢中で取り組んだ、夢中で努力した、そんな体験はきっとご自身の力になってくれると思います。
頑張る時は、ぜひ、できないところをできるようにする!という気持ちだけではなくて、できるところをもっと伸ばす!の気持ちも大切にしてあげてください。
そして同時に、どこかのタイミングで、苦手なことは避けて通るとか、人に任せるとか、そういう道も視野に入れてほしいなと思います。
大切なのは、「やったけどうまくいかなかったから諦める」と思うのではなく、「自分は自分の得意なことを活かすから、不得意なことは得意な人に喜んで任せる」という気持ちでいてほしいということです。
そうすると、きっとあなたの才能は、ますますのびのびと発揮され始めるのではないかなと思います。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。