886-1 「同じ」と「違う」は生活の基盤をつくる
わたしたちの生活をつくっている大切な概念の一つが、「同じ」と「違う」の認識です。
大人はほとんど意識しないくらい当たり前に使いこなしている概念ですが、「同じ」と「違う」の認識は、日常生活のほぼすべての基盤になると言っても過言ではありません。
ものの名前を知る、色・形・大きさなどの概念を知る、文字や数字を学習するといった学習面、
身辺自立や整理整頓といった生活面、
さらには、自他の気持ちを知り、互いに思いやる生活を送り、他から独立した一個の人間としての自分自身を確立するところにもつながるのが、「同じ」と「違う」の概念です。
886-2 もの同士のつながりを教える
知的障害のあるお子さんは、事物を個別に捉える傾向があり、個々の概念を結び付けたり、属性を見出したり、ある括りでまとめて理解したりすることが苦手なことがよくあります。
そうした子供たちに、もの同士のつながりを教えるための最初のステップが、「同じ」と「違う」の認識です。
たとえば、小さなお子さんは、自分の好きなキャラクターに注目したり、指差したりすることがあります。
これは、いま目にしているものが自分の好きなキャラクターと「同じ」だ、と認識しているということですね。
こうしたとき、「〇〇ちゃんの好きな(キャラクター名)だね。(キャラクター名)と “同じ” だね」などと声かけすると、「同じ」という言葉で表現される概念が少しずつ伝わっていきます。
日常生活の場面だけでは概念がつかみにくいお子さんの場合、ものや絵カードのマッチング課題を通して「同じ」と「違う」を教えていきます。
886-3 初期の練習は見た目が全く同じもので
初期の段階での練習に大切なのが、見た目が全く同じものを使うことです。
絵に描いたりんごも、実物のりんごも、どちらも同じりんごだと解釈できるのは、りんごという概念を理解しているからこそです。
そこに至る前の段階のお子さんには、全く同じ絵柄の2枚の絵カードなどを用いて、「同じ」「違う」を教えていきましょう。
絵カードなどの教材は、市販されているものも活用できますし、身近な材料を使って自作することも可能です。
次回は、ごく簡単なマッチング教材の制作方法と、それを用いた「同じ」と「違う」の練習方法をご紹介します。
本日は以上です。
それでは、また。
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