よくある親子のこんなシーン
お子さんが何かよくない手イタズラなどをしていたとします。
保護者は、目線でチラチラとたしなめたり、軽くにらんだり、「ちょっと」と声をかけたりして、それはよくないと伝えようとしています。
でも、まったく効果がありません。
それどころか、お子さんはすっかり楽しくなってしまったようで、手イタズラはますます激しくなります。
そこでとうとう、保護者は堪忍袋の緒を切って、「何やってるの!」「やめなさい!」と叱りました。
親が伝えているつもりのメッセージ
この時、保護者とお子さんとの間のコミュニケーションは、こんな感じになっています。
保護者のほうでは、いろいろな合図をお子さんに送っているつもりなのですが、お子さんには全く届いていません。
- 相手の表情を読むのが苦手
- 人の気持ちを想像するのが苦手
- ある例を別の場面に応用させて判断することが苦手
といったお子さんの場合、特にこの傾向が強くなります。
保護者は、何度もメッセージを送っているのに言うことを聞いてくれないという苛立ちが募っているので、「何やってるの!」という時点ではかなり語気が荒くなっています。
「この子は何度言っても(本当は言ってないのですが)通じない子だ」という認識も生まれているはずです。
心の中にはストレスがたまっています。
子供が実際に受け取ったメッセージ
一方、お子さんにしてみれば、いきなり「何やってるの!」と怒鳴られた、という認識しかありません。
それ以前の保護者のメッセージは全く受け取っていないからです。
誰だって、突然頭から怒鳴りつけられれば、とてもビックリしますよね。
さまざまな情報をまとめて俯瞰する力が未熟な子供の場合は特に、怒鳴られた驚きや恐怖だけが強く印象づけられます。
ですから、一番大切な「なぜ怒られたか」はわかっていません。
もしかしたら保護者が「何やってるの!」と怒鳴った後で、「そんなイタズラしちゃダメでしょ」などと声をかけているかもしれませんが、直前の恐怖の印象が強いと、後に続く言葉は耳に入っていない可能性が高いです。
心の中には、そんなことをする相手への怒り、恐怖、不信感が少しずつ募っていきます。
適切な対処方法の例
この場合の適切な対処方法としては、
- はっきりと、簡潔な言葉で
- 落ち着いた、冷静な態度で
それはよくないということ、代わりにどうすればよいか、を伝えてあげるのがよいでしょう。
態度でにおわせる、目にものを言わせる、という非言語のコミュニケーションは全く意味がないと思っておいたほうがよいでしょう。
コミュニケーションは伝わらなければ意味がない
「いつも突然怒られるんです」と発達障害をお持ちの成人の方からお話を伺ったことがあります。
この言葉はまさにこの状況を言い表していると思います。
コミュニケーションは伝わらなければ意味がない、ということは、相手が誰であっても同じですよね。
大人同士のやりとりでも、自分はこう言ったつもりだったのに相手には違った形で受け取られていた、ということはよくあります。
発達障害のお子さんの場合は、大人よりももう少し入り組んだ認知特性を持っている可能性があります。
お子さんに合わせて、伝わりやすい指導方法を考えてみてくださいね。
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育児・療育は親子の育ち合いです。
お子さんのお話だけでなく、親御さんのお話を伺うことも大切な時間です。
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