783-1 ワーキングメモリに弱さのある子への指導
ワーキングメモリに弱さのあるお子さんへの学習指導では「間違いを指摘する必要はない」というお話を伺ったことがあります。
どういうことかというと↓
まず1回目のプリントを解きます。
正解する問題も間違う問題もあるでしょうが、初回の授業ではそのプリントは解いただけで終わりで、答え合わせなどもしません。
指導者は、そのプリントの解答状況から、お子さんの理解の状況や苦手さの具合を見て取り、お子さんの理解をサポートできるような内容で次のプリントを用意します。
次回の学習場面で、2回目のプリントを解くことで、自然と初回の学習プリントの復習や発展になります。
このように、できなかった問題を「間違っているよ」と正面から指摘するのではなく、できなかった問題ができるようになるような次の学習課題を提供することで、間違いを自然にクリアしていく、という考え方です。
783-2 違和感のある指導方法かもしれないけれど
最初にこのお話を伺ったときは、本当にそれでいいのかな?と思ったものでした。
間違った部分をしっかり確認して振り返るからこそ、次に同じ間違いをせずに済むのではないかな、と感じたからです。
ところが、それは自分が「理解すること」に特段の困りがないから言えることだったのですね。
文字や数字の読み書きに困りがなく、情報を頭の中に一時的に置いておきながら、並行して人の話を聞いたり別の作業をしたりしても、その情報がどこかに行ったり消えたりしないタイプの人なら、プリントの答え合わせをして、間違った問題の解き直しをするのも意味があるでしょう。
一方、ワーキングメモリに弱さがあるタイプの人は、(個々の状況にもよりますが)答え合わせをしても、自分がどう間違ったのか、何を修正すればいいのかを把握できない可能性が高いです。
そもそも、解答用紙と答えとを見比べて正誤を確認することすら一苦労の場合もあります。
783-3 さまざまな場面に応用できる考え方
そうした状況では、答え合わせは百害あって一利なし。
この場合の学習の本質は、必要な知識を得ることです。
自分にとって少しでも受け取りやすい形で知識を蓄積していけるなら、答え合わせにこだわる必要はなかったのですね。
ワーキングメモリに弱さのあるお子さんだけでなく、
- 間違いを受け入れにくい
- 一度失敗すると気持ちの立て直しに時間がかかる
- 得点にこだわる
- 学習に強い苦手意識がある
- 積極的に成功体験を蓄積したい
といったお子さんにも、活用の仕方によって面白い影響を与えてくれる考え方かもしれませんね。
本日は以上です。
それでは、また。
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