771-1 話すこと・話せることを支える大切な土台
前回は、お子さんのお話の力を育むために、日常生活で無理なくできる「口」を中心としたアプローチをご紹介しました。
ところで、お話の力を支えるのは、口だけではありません。
すべての土台となっているのは、元気な身体と心、そしてコミュニケーションを取りたいという意欲、それを支える安定した人間関係です。
わたしたち大人も、機能的な面では会話に不自由がなかったとしても、
- 高熱が出ているときには口をきくのも億劫
- 深い悩みに思い悩んでいるときには小さな声しか出ない
- いつもキツイことを言う相手にはのびのびと話ができない
そんなことがないでしょうか。
子供たちも同じで、「話せること」と「話すこと」は、別の問題だったりするのですね。
771-2 言葉の力を育てる秘訣
言葉が育つとは、たとえるならば、ビルの一部屋ずつに言葉や単語を住まわせてあげるようなもの。
大人になるにつれて部屋がどんどん増築されて、難しい言葉や外国語なども住み始めます。
ビルは必ず下から建てていくもので、部屋から先に空中に建てていくのは無理な話です。
ビル建築には基礎工事が欠かせないように、人の育ちにおいても、一番大切な土台には人間としての基礎工事が必要です。
すなわち、言葉の力を育てる秘訣は、こういうことになるのではないでしょうか。
よく寝て、よく食べて、よく遊んで、よく泣いて、よく笑うこと
言葉とは全く関係がないようにも見えるかもしれませんが、その子がのびのびと育つことを応援してあげることが、結局は一番大切なのだろうと思っています。
771-3 言葉を教え込む前に基礎工事を
たとえば、身体を大きく動かす遊びは、子供たちの育ちに大きな力を与えてくれます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、脳の中の神経回路がまだうまくつながっていません。
最初は「まず生きること」が最重要課題で、それ以外の機能を構築するのは後回しにしてある、とイメージするとわかりやすいでしょう。
「まず生きる」ステージを超えると、脳の中の回路がつながったり、切り替えスイッチが働くようになったり、必要な回路が太くしっかり育ったり、し始めます。
身体を大きく動かす遊びは、この頭の中の回路をしっかりとつなぎ合わせてくれる力があります。
回路がしっかりつながれば、ものを集中して見たり、大人の言葉をしっかり聞き分けたりすることもできるようになっていき、それはそっくりそのまま言葉の学びに直結します。
言葉を教えなくて良いというわけではありません。
でも、その前にやったほうがいいこともたくさんあるから、ぜひ基礎工事にも目を向けていただけたら、というお話でした。
次回はこれらを踏まえて、もう少し具体的なアプローチをいくつかご紹介します。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。