488-1 ▼ できる・できないを決めるときの傾向
目の前の課題があまりにも大きく、手の付けようもないと感じるとき。
課題に対して自分で試行錯誤して道を見つけることができる子供たちもいます。
が、そうでない子供たちは、その巨大な山に登ろうとすることを諦めます。
そのようにして諦めるときの子供たちの認識には、一つの傾向があるように思います。
それは、「0か100かの大きな物差しを当てはめる」ということ。
たとえば算数が苦手な子がほぼ必ず口にする言葉があります。
それは、「算数が全然わからない」というフレーズです。
488-2 ▼ 細かい目盛りを刻む
彼らは確かに算数が苦手かもしれませんが、「全然」わからないということはほとんどありません。
足し算はできますか、引き算はわかりますか、九九は覚えていますか、
とさかのぼって土台から確認していくと、みんな何かしらはできるのです。
細かく見ていけばできることはあるのに、そうした小さな認識をすべて捨てて、「全然」という大きな言葉を当てはめるところに、彼らの認識傾向の特徴があります。
何かが苦手だ、できない、自分には向いていない、等とひとたび思うと、パタンと扉をしめてそこから先を考えないようにしてしまうようなところがあるのですね。
でも、実際には、「できる/できない」という0か100かの目盛りだけでなく、「ここまではできる」「ここから先はちょっと手伝ってもらえばできる」などという、もっと細かい目盛りがあるはずです。
488-3 ▼ 行動が引き出されるオリジナルの目盛り
0か100かの大きな物差しを当てはめてしまって身動きが取れなくなっている子に提案してあげたいのは、その細かい目盛りを見直してみることです。
2桁×1桁の筆算から練習してみようか、などと、その子にとって無理なくできるところまで戻ってあげると、ちょっとやってみようかなという気持ちが動きやすくなります。
「全然わからない」という大きな物差しに、足し算、引き算、九九、という細かい目盛りを刻んでいってあげることで、目の前の物事が、自分にも捉えられるサイズ感になってくるのですね。
あまりにも大きな、自分の能力を完全に超えた(と感じられる)山を見ると、それに上ろうなどと思いもしなくなるけれども、その山に階段が切ってあって、一定距離ごとに休憩所が設置してあると知れば、最初の休憩所までならちょっと上ってみようかな、という気にもなれますよね。
人の行動を促す、こうした目盛りの細かさは、全員が一定の幅というわけではありません。
その人にとって一番行動が促されやすいスケール感というものがあって、大股の駆け足で2~3メートルを一気に進んでいける人もいれば、1センチずつゆっくり歩いていく人もいます。
でも、誰もが、その人だけの目盛りを自分の中に持っているのです。
その人の中に眠っている行動を引き出す一つの方法として、「その人の目盛りの細かさを見つめ直す」ということを試してみていただけたらなと思います。
本日は以上です。
それでは、また。
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