476-1 ▼ 「ゆっくり」「丁寧に」
発達に偏りのあるお子さんの指導においては、曖昧な表現を極力排して、具体的な行動が起こせるような表現に変えて伝えよう、ということがよく言われます。
そのときのNGワードとされる筆頭が「ゆっくり」「丁寧に」ではないかと思います。
「ゆっくり」「丁寧に」は、確かに曖昧な言葉ですね。
何がゆっくりで何が丁寧なのか、人によっても状況によっても感覚が違います。
でも、たとえば「ゆっくり」を具体的にしようとして「秒速3cmで動く」などと教えるのは、一つの方法ではあるでしょうが、あまり現実的ではないですよね。
学校や施設など構造的に練習ができる環境下では、「必然的にゆっくり動かざるを得ない手順を組み立てる」のが一つの手です。
より汎的に活用するには、この場面・この状況下で求められる「ゆっくり」とはどのくらいの速度なのかをお子さんが自分で体得できるような仕組みがあるとより良いだろうと思います。
476-2 ▼ それぞれのゆっくりさ
大人自身が「ゆっくり」動く場面を思い出してみてください。
たとえば家族全員が寝静まっている中、皆を起こさないように布団から抜け出す時。
たとえば今にも倒れそうなジェンガの1本を抜く時。
たとえばたくさんのグラスをお盆に並べて食卓に向かう時。
それぞれ間違いなく「ゆっくり」「丁寧に」行動していると思うのですが、場面ごとに「ゆっくりさ」「丁寧さ」は異なるのではないでしょうか?
ベテランの職人さんが目にも止まらないような速さで作業をしていく様子などを見ていると、速度としては速いけれど、動作自体は「丁寧」で、美しくすらあります。
人によって、とてもスピーディに見える「ゆっくりさ」もあるということですね。
「ゆっくり」とは、自分が無理なく動くことができて、かつその時その場の空気や相手の気持ちを乱さない速度のことを言うのだろうと思っているのですが、
お子さんに指導する際も、その子にとっての、かつ、その場面においての「ゆっくりさ」をたくさん体感させてあげることをお勧めします。
476-3 ▼ さまざまなゆっくりさを体感する
たとえば、、、
- ジェンガで遊ぶ
- トランプを立てかけて家を作る
- 頭の上にお手玉を載せて落とさないように歩く
- ラケットに風船を載せて落とさないように歩く
- 一定時間、静止する(速度ゼロのゆっくりさの体感)
などなど。
たとえば頭の上に載せるものがお手玉なのか、本なのか、膨らませた風船なのかで、「ゆっくりさ」も変わってきます。
頭の上の物という「相手」との関わり方を自然に調整することになり、場に応じた・相手に合わせた心身コントロールの練習にもつながっていきますよ。
本日は以上です。
それでは、また。
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