294-1 ▼ 新年度からは一人一台のデジタルツール
「GIGAスクール構想」をご存知でしょうか。
小中学校等の児童生徒に一人一台の端末と高速インターネット環境を整備するという国の政策です。
コロナのおかげで計画が前倒しされ、急ピッチで進んでいます。
文科省の発表によると、この3月末までに端末の準備とインターネット環境の整備が完了する予定の自治体は97.6%にのぼるのだとか。
これはなかなか驚異的な数字ではないかと思います。
今までは、学習障害や発達障害のお子さんが、タブレットやカメラなど学習補助用のツールを教室に持ち込んで勉強したいと訴えても、なかなか認められないことが多かったものですが(合理的配慮が言われるようになってからもまだ少なくありませんでした)、それと比べると今の変化が嘘のようです。
こんな簡単にできるんじゃん、今までは何だったの?と言いたくなるくらいです。。。
(まあ、裏では色々と簡単ではないことがいっぱいあったのでしょうし、無数の人の汗と涙のおかげで成立した97.6%なのでしょうが、やればできるのに今までなんでやらなかったの、とは聞いてみたくなりますよね。)
294-2 ▼ デジタルツールの理想と現実
もちろん、タブレットを持ち込んだからといってそれだけで学習環境が大きく改善するわけではありません。
おそらく最初のうちはどのクラスも「タブレットを使うための授業」にとどまるでしょうし、その先の授業の構造がどう変化していくかは、担任の先生のITスキルやファシリテートスキル、校長先生の理念や学校全体の方針に大きく影響を受けるだろうと思います。
ICT教育の理想をまさに体現するようなドラスティックな変化が起こる可能性もありますが、教科書がただタブレットに入れ替わっただけ、という授業が行われる可能性だって十分にあります。
さらに、学習に困難さを抱える生徒さんの場合、タブレットのようなツールがあるからといってそれだけで全ての課題が解決するわけではないでしょう。
たとえばLDだけに困っているお子さんなら、タブレット一つでかなりの改善が見込めるでしょうが、おそらくそういったお子さんは少数派です。
現実には複数の困難さをあわせ持っているお子さんのほうが多いですから、やはり個々の困り感に合わせた対応や環境設定が必要不可欠になります。
タブレットやパソコンは大きな可能性をひらいてくれるものではありますが、あくまでもツールであり、使うのは人間であるということを忘れてはいけないと思います。
294-3 ▼ 大きな学びの変化の時代
ともあれ、これから先は多くのお子さんが(理論上は全員が)学校でタブレットやパソコンなどのICTツールを使うことになります。
ご家庭でも、差し支えのない範囲でそういったツールに触れさせてあげて、この大きな学びの変化の時代に子供たちが対応できるよう、そして大人たちも同時に新しい学びの風を受け取れるよう、一緒に進んでいけたらいいなあと思っています。
デジタルツールは、動画を見たりゲームをしたりするだけのものではありません。
学びや創造の道具として活用するために、まずお子さんに何をやってもらったら良いか?
明日はそのあたりをご提案できればと思います。
本日は以上です。
それでは、また。
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