こんにちは。三輪堂です。面白く生きる連載、243通目です。
243-1 ▼ 思考と身体を通して自分自身を受け止めていく
ここまで、障害の受容について書いてきました。
障害の受容、というとき、以前にもお伝えしたように、「障害」という具体的な何かに真正面から取り組むというよりは、自分というブラックボックスの在り方を理解して受け止めていくというほうが実態に近く、障害の受容とはすなわち、いま現在の自分自身を理解して受け止め、受け入れていく、ということになりそうです。
自分を受け入れるということは、自分の在り方・生き方を信頼することに他なりません。
発達の特性の有無に関わらず、どんな方にとっても大切なテーマですね。
これまでお伝えしてきたワークは、当事者やお子さんだけでなく、大人の方や特別な困りを感じていない方にも試してみていただきたいなと思います。
以前に似たようなことをやったことがあるから、とか、自分は別にいいわ、とかとお感じの方もいらっしゃると思うのですが、時間をあけてもう一度やってみると、またその時とは違う角度から深まったりもします。
自分自身というものは、一歩も立ち止まらずに成長発展し続けるものなので、新しい自分に出会い、自分を客観視し、現在地を確認するという意味で、ぜひお勧めしたいものです。
特に手のひらワークはぜひ。
現代人は思考で物事を考えて捉えることに慣れ過ぎていて、身体が置き去りになっている方が多いです。手のひらワークは、身体のほうに意識の焦点を引き戻す効果もあります。
身体がゆるむと良いことづくめですし、お金も手間もかかりませんので、ぜひ試してみてくださいね。
243-2 ▼ 自分の中の答えの引き出し
「自分は発達障害なのか?」
「発達障害とは何なのか?」
と、お子さんに問われて、一瞬のためらいもなく返答できる大人は少ないと思います。
なんと答えてよいか、回答する言葉が自分の引き出しの中に入っていないという方もおられるのではないでしょうか。
(わたし自身も、長い間そうでした。今でも十分とは言えませんが、借り物の言葉ではない、自分の中から掘り出されてきた言葉は、おかげさまで少しずつ増えつつあります。)
だからこそ、わたしがつくづく感銘を受けるのは、特性のあるお子さんを育ててこられて、他人にはわからないご苦労もされて、誰にも見せない涙を何度も流して、おそらく何度も何度も答えのない「なぜ」を問い続けてこられたご家庭の、その親御さんの人生の中から磨き出されてきたかのような言葉です。
「発達障害をどう捉えていますか」に対する一言に、そのご家庭の人生のすべてが映り込んでいるようで、わたしはいつも言葉を失います。
感動という言葉で片付けてしまうのも少し違うような、もうすでにそこにすべてがあって、他人がこれ以上余計なことを言う必要は何もないなという、そんな心の震えを感じます。
お子さんが障害を受容するにあたっては、親御さんの障害観・人生観が非常に大きな影響を与えます。
お子さんとご一緒に、親御さんご自身も、ご自身のお考えを改めて見つめ直して、一つずつ言葉にして整理してゆく機会とされてみてはいかがでしょうか。
お子さんの問いに対してすぐに答えが出せなかったとしても構いません。
「お母さん(・お父さん)もわからないから、一緒に考えよう」
と言ってあげれば良いと思います。
ご自身なりの意見があれば、それをそのまま表現されれば良いと思います。
正解不正解はありません。思うままのお言葉でよろしいと思います。ご自身が今まで生きてこられた、その人生の歩みをどうぞ信頼なさって、そのままお話しされてみてください。
身体の原理原則から見て、こういう方向性の考え方だと身体は素直に喜ぶだろうなというものはありますが、そこに無理やり合わせていくというのもまた違います。
とにかくまずは素直に出す、まずはそこからだろうなと思っています。
243-3 ▼ 真剣な言葉はそれだけで伝わる
大人が真剣に話したことはきっと伝わります。
たとえ内容や意味がわからなかったとしても、その話に含まれる熱量、響き、振動、愛情、そういったものはきっと伝わります。
それらはお子さんの胸の奥に届いて、ご本人にとって必要なタイミングで芽を出すでしょう。
もし、障害の受容や特性の理解について、自分一人では整理がつかないと思うときは、ぜひメッセージを投げてください。
ご一緒に、あなた自身の心と身体をゆるめながら、わたしたち自身というものを見つめ直していきましょう。
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さて、長々と書いてまいりましたが、障害の受容についての連載はひとまずここで一区切りといたします。
皆さんのおかげさまで、わたし自身にとっての障害の受容、特性の理解とは何なのかという考えがもう一歩深まりました。誠に得難い機会をいただいたと思います。
ここまで読んでいただきましてありがとうございました。
明日以降はもうちょっと気軽に読める短い読み物も取り混ぜていきますね(^ ^)
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。