先日、ある方のお宅にお邪魔して、お話を伺ってきました。お名前を仮にAさんとしましょう。

Aさんのお宅は、センスの良い飾りつけがされていて、白壁と木目調の家具が美しく調和した、居心地の良い空間でした。

Aさんのお子さんは、最近、発達障害の診断を受けたばかりです。Aさんのご家族は、その事実を受け入れることに悩んでおられました。

 

Aさんの気持ちを一言で表すと「不安」。これに尽きます。

 

 

「自分の子供よりもっと障害が重い子もいる。

我が家の場合、家族も支援に協力的で、一人だけで育児をしているお母さんと比べれば自分の境遇は圧倒的に良いとはわかっている。

でも、不安だ。

小学校で普通学級に行くか支援学級に行くか、このまま育てていって大丈夫なのか。

周囲の子が成長するにつれて自分の子との差が開いていくのが感じられて、ますます気が重くなる。

このままではいつか周囲の保護者にも自分の子供に障害があることがわかってしまうのではないか。

変わった行動を好奇の目で見られるくらいなら、自分から公表してしまえば気が楽になるのではないか・・・」

 

 

など、など、など。言葉はぽつぽつと、とりとめもなくこぼれてきます。

何とかしたいと思っても、どうしようもなく重く暗い不安が後から後から湧いてきて、不安に押しつぶされないように日々の生活を送るのが精一杯、、、そんな焦りや苦しみが伝わってきます。

 

 

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でも、私は、Aさんと話していて、静かな希望を感じたのです。

Aさんは、間違いなく、一番良い方向に向かって進んでおられる、と感じられたからです。

 

Aさんは今、苦しんでいらっしゃいますが、それはAさんが「障害を受容する過程で必ず通るべき道」です。

どんな方でも、必ず、一歩ずつ歩いていかなければならない道です。他の誰も肩代わりしてあげられない、Aさんだけの道です。

 

 

Aさん以外にも、お子さんの発達障害について知らされたばかりの方がいらっしゃるでしょう。皆さんもAさんと同じように、衝撃を受け、激しい不安に襲われているのではないでしょうか。

そんな時はまずは自分の心を大切に包んであげて、最初の衝撃をなんとか乗り越えていきましょう。

 

最初の衝撃を乗り越えたら、次は発達障害について勉強されることをお勧めします。

発達障害についての知識を増やし、お子さんがスムーズに生活できるような支援を工夫し、お子さんにとって伝わりやすい働きかけを学び取っていく中で、保護者は少しずつ「こうすればうまくいく」という実感が持てるようになっていきます。

 

すると、少しずつ心の状態が変わっていくはずです。

暗い不安のもやが少しずつ薄くなり、心の中に青空が広がり始め、光が見えてくるようになりますよ。

 

 

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Aさんは、「発達障害について公表しようか、どうしようか」ということを悩んでおられました。

私は、「無理に今すぐ公表しなくて良い」とお返事しました。

 

その理由は、Aさんご自身が発達障害を受容する過程で、自然に話したいと思える時が来ると確信できたからです。

 

 

「受け止める」と「受け入れる」は違います。

Aさんは、お子さんの発達障害を頭で受け止めることはできていましたが、腹に落として受け入れることはまだできていませんでした。

この状態で無理に人に話すと、逆に周囲の目線が色々と気になってしまって、悩みを深める結果になると思います。

腹に落として「受け入れる」ことができた時、きっと自然にリラックスして口にのぼせることができるはずです。

 

 

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Aさんと同じようにお子さんの育ち方に悩まれている方、どうぞお一人で苦しまず、メールを送ってきてください。

「障害を受容しなければ」と焦る必要はありません。受容の道のりは人それぞれです。

あなたが歩いていく道を肩代わりすることは誰にもできませんが、一緒に歩いていくことはできるのです。

ご一緒に、一歩ずつ、前に進んでいきましょう。

 

 

大丈夫。道を進んだ先には、きっと光り輝く青空が見えていますよ。