408-1 ▼ きちんと話を聞いてくれない子供たち
ある施設にお勤めの方から、こんなご相談がありました。
こちらの施設では、ホワイトボードに注意事項や今日の活動内容を書いて、参加児童に示しながら説明をするのだそうです。
そのときに、「みんな、こっちを向いて」などと声をかけても、なかなか先生のほうを向いてくれない。
見たとしてもぼんやりと顔を向けているだけで、ホワイトボードの該当部分を見るとか説明を読むとかといった様子はあまりない。
どうすれば、きちんと話を聞いてくれるだろうか、というお尋ねでした。
こちらのご相談を拝見してなるほどと思ったのは、大人が思う「話を聞く」と、子供たちが思うそれとが、大きくかけ離れている可能性があるかもしれないな、ということでした。
408-2 ▼ 大人と子供の間にある認識のズレ
たとえば「みんな、こっちを向いて」という声かけは、大人からすれば、その場にいる全員に向けて、先生の顔や手元、あるいはホワイトボードを見てください、という意図で発信したものでしょう。
でも、お子さんの側からすると、いろいろな落とし穴がありそうです。
- 「みんな」という声かけに自分が含まれていると認識していない
- 「こっちを向いて」の「こっち」がどこだかわからない
- 「こっちを向く=ホワイトボードを見る」ことを求められていると理解していない
など、など。
実際のお子さんのご様子によってはさらにいろいろな可能性が考えられますが、パッと思い当たるだけでも、大人と子供の間にこうした認識のズレがある可能性は高いのではないかと想像します。
実際のご相談では何段階かに分けて改善策をご提案していますが、今回はその中の一部、
「先生の声かけに応じてボードを注視する練習」
をご紹介します(^ ^)
408-3 ▼ 課題を細かく分解してみよう
1.ホワイトボードの四隅に異なる絵や具体物等を掲示する
イラスト、写真、文字、さまざまな色や形のマグネット等
それぞれの違いがわかりやすいほうがよい
2-1.「赤いマグネットはどこ?」などと指示して回答させる
「右上」「左下」などの位置の言葉がわかる場合は口頭で回答する
言葉が難しい場合は該当のものを指さす形でもよい
2-2.「右上を見て。何があるかな?」などと指示して回答させる
位置の言葉が難しい場合は、該当物を指さして「ここを見て」と指示するなど、児童の状態像に合わせて指示内容を調整する
こういった練習を通して、子供たちは「ボードを見る」という行為の具体的な内容や、その指示に含まれる意図を体得していきます。
今回のご相談の目的は「どうすれはきちんと話を聞いてくれるだろうか」ということでしたが、「話を聞く」ことには大人が意識していないさまざまな動作が含まれているのですね(^ ^)
今回ご紹介した「ボードを注視する」という動作もその一つです。
一つひとつの動作を細かく分解していって、その子がどこでつまずいているかを見極めていけば、療育的な困りごとはきっと練習方法や解決策が見つかります。
よろしければご参考になさってみてくださいね。(^ ^)
本日は以上です。
それでは、また。
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