393-1 ▼ 言葉が出ない子、コミュニケーションが苦手な子
東京オリンピックのスケートボード中継で、プロボーダーの方の自由な解説が話題になりました(^ ^)
話題になったのは「ゴン攻め」「ビッタビタ」などのフレーズです。
こうして文脈から切り離して書いてしまうと、意味がわかるようなわからないような・・・ という感じになりますが、現場の勢いの中でご本人が口にされていると、まっすぐに胸に届いてきます。
これこそが、言葉の力だなあと思います。
療育・保育・教育の現場では、言葉が出ない・遅い、コミュニケーションが苦手である、といったご心配がよくあります。
言葉の支援についてはさまざまな働きかけが研究されていて、地域でも言葉の教室などにつなげる支援が確立されているところが多いようです。
393-2 ▼ 言葉を教えることはできるけれど
ご家庭でできる働きかけとしては、
- 口腔に器官的な課題があるかどうかを専門家と確認する
- お子さんの喃語(アーアー、ウウウ、等の言葉になる以前の音)を真似て投げ返してあげる
- 絵カード等を使って単語を教える
- たくさん話しかけるまたは言葉を絞って話しかける(※お子さんの特性によってどちらが受け入れやすいか変わってくる)
などなどが考えられます。
このような働きかけを通して、言葉そのものや、挨拶、返事、「ありがとう」や「ごめんなさい」、貸し借りの言葉など、集団生活での「頻出ワード」を「教える」ことはできるだろうと思います。
が、それがうまくできたからといって、それは「コミュニケーションが取れる」ということなのでしょうか。
また逆に、それがうまくできないからといって、「コミュニケーションが苦手だ」と判断してよいのでしょうか。
393-3 ▼ コミュニケーションが生まれてくる環境を整える
言葉とは、その人の内面世界を表現するものです。
言葉が出ないからといって内面世界が存在しないわけではありません。
小さなお子さんの場合、言葉にはならなかったとしても、表情、目つき、しぐさ、態度、身振り手振りなどで、その子の中にある内面世界の響きが伝わってきます。
その響きに乗せてこそ、言葉は生きてきます。
「ゴン攻め」「ビッタビタ」といった定形外の言葉が多くの人の心に届いたのも、それが話者自身の波にぴったりと乗っていたからでしょう。
それこそがコミュニケーションというものなのだろうと思います。
絵カードで単語を覚えることにも大いに意味はありますが、コミュニケーションを豊かに交わすためには、ご本人の内側から湧き出てくる響きを大切に汲み取り、育んであげる関わりこそが大切です。
コミュニケーションが生まれやすいのは、その人らしさ、その人の主体性、イキイキとしたその人自身が弾け出るような環境にあるときです。
言葉の種類や使い方は「教える」ことができます。
でも、コミュニケーションについては、「教える」ことを考える前に、ご本人の中から「生まれてくる」環境を整えてあげることを目指したいものですね。
本日は以上です。
それでは、また。
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