こんにちは。三輪堂です。面白く生きる連載、240通目です。
240-1 ▼ ブラックボックスを検証するようなもの
昨日は、「1と2のぼんやりしたはざま」について書きました。
特性を理解して障害を受容するという意味においては、「自分」という何か一つのものを目指そうとするより、自分と周囲とのさまざまな関わり合いの中で、その差分を掘り下げていったほうが近道だろうということでした。
障害の受容というと、なんというか、障害という明確な何かがあって、それに向かって一直線に向かっていって「よし!受容するぞ!」と頑張る、という感じで捉えておられるご家庭が多いのかなと感じています。
これだと、そもそも「障害という明確な何か」を見つけるのにまず苦労するんですね。そもそも「障害という明確な何か」は、基本的に存在しないか、存在したとしてもブラックボックスのようなものだと思うのです。ボックスの中に何が入っているかは、仮定することしかできません。
だからこそ、ブラックボックスへの入力と出力の様子を見て、その挙動からボックスの中身を検証していく、というのが、特性の理解であり、障害の受容につながるものだと思っています。
240-2 ▼ 具体的なワークのご紹介
さて、ブラックボックスの検証として取り組みやすいのが、「好き嫌い」「得意不得意」についてです。
自分は何が好き・得意で、何が嫌い・不得意か、を考えていきます。学齢の幼いお子さんでも比較的取り組みやすい課題です。
まず、大きな紙の中央にテーマを書きます。
例⇒「~~ちゃんの好きなもの」「~~君の得意なこと」など
そのテーマに対する回答を付箋に書いて、テーマの周囲にどんどん貼っていきます。関連する回答は近くに貼っていくと面白いでしょう。
付箋は、自分で書ける子なら書いてもらっても良いですし、大人が代筆してもOKです。
240-3 ▼ ワークを楽しく進めるコツ3つ
小テーマを設定する
「何が好き?」といった大きな問いかけだと、なかなか答えが出てこないことがあります。
お子さんは特にイメージの力や言語の力がまだまだ未熟なことが多いので、「好きなもの」という大テーマに対して、小テーマを設定してあげるのがコツです。
「好きなこと」と聞くのではなく、「好きな食べ物」「好きな色」「好きな科目」「好きなスポーツ」など、具体的な枠組みを設定して質問していくと良いでしょう。
ポジティブなテーマから始める
このワークでは、嫌いなことよりも好きなことから始めることをお勧めします。
ネガティブな意見はなかなか口にできない子も多いです。特に自己肯定感の低下が目立つお子さんには、まずはポジティブなテーマから取り組むことで、あなたの良いところ素敵なところがこんなにあるね、と共有し合うことができるので、大変お勧めです。
複数で取り組むのも良い
複数の方で一緒に行うのも楽しいものです。大人が全体のファシリテートを行い、回答者はそれぞれ自分の好きなものを考えつつ、自分以外の参加者の好きなものも思いつけば言ってあげましょう。
ごきょうだい、お友達、先生など、お互いをよく知り合っている相手と一緒に行うと、自分でも思いがけなかった自分の姿を指摘してもらえたり、相手の回答を見て(そういえば自分も〇〇が好きだな)と思いつけたりして、一層の広がりが楽しめるでしょう。
本日は以上です。
それでは、また。
いつもあなたに明るい風が吹きますように。