581-1 ▼ さくらんぼ計算の落とし穴
昨日は、療育にはいろいろな方法があるし、目的地にたどり着くまでのルートはいろいろある、ということを書きました。
たとえば小学校1年生で取り組む「さくらんぼ計算」。
学びの「いろいろな方法」の意味をいつも考えさせられる学習内容です。
さくらんぼ計算とは、
7+8
=7+(3+5)
=10+5
=15
というように、10の補数をベースにした計算方法です。
数をいったん分解して10を作るプロセスを視覚化するという面白い計算方法なのですが、これが実に、小学校1年生の子供たちにとってはつまずきどころが多いのです。
581-2 ▼ さくらんぼ計算が合わない子もいる
まず、数を分解して10をつくるという概念を理解するのが難しい。
そして10の合成分解がスムーズでない子にとっては実につらく面倒な計算です。
また、手順が増えるので、ワーキングメモリに余裕のない子は追いつけなくなってしまいます。
なんとか手順を追っているうちに、そもそも何を計算していたのだったかわからなくなる子も。
計算の答えが合っていても、やり方がさくらんぼ計算に沿っていないとテストでは不合格になることもあり、そのおかげで算数に苦手意識を持つようになる子もいます。
581-3 ▼ あくまでも手段の一つに過ぎない
繰り上がりを理解する一つの方法としてさくらんぼ計算は素晴らしい考え方ですが、あくまでも計算の選択肢の一つです。
繰り上がりの足し算を、数え足しなら計算できるという子もいれば、10よりも5のかたまりで数を捉えたほうがわかりやすい子もいます。
その子なりのやり方で繰り上がりを理解できれば良いのですから、さくらんぼ計算のような一つのやり方にとらわれる必要はないと思います。
さくらんぼ計算を学習するかどうかは学校の判断によるので、触れずに終わるお子さんもいるかもしれません。
もしさくらんぼ計算を学ぶ機会があったら、それはあくまでも繰り上がりを学ぶ方法の一つであるということを忘れず、さくらんぼ計算ができることを学習の目的にしなくても良いと思っています。
目的地にたどり着くまでのルートはいろいろあって、その子にとって行きやすい道はきっとあるのだということを、支援する大人が諦めずにいたいものですね。
本日は以上です。
それでは、また。
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