こんなご相談をいただきました。小学校低学年のお子さんについてです。

 

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「間違う、負ける」に、こだわりがあり、1問でも間違うと怒り出し、次の事に取り組めません。
訂正して次に進むまでに時間がかかり、学校ではおいていかれるので、余計にできていない自分に腹を立て、怒り散らしてます。

家では宿題をやりたがらず、かといって、忘れていくのは絶対に嫌なので、何時間でもイライラグダグダして、進みません。

また、人から「違うよ」と否定されたり、注意されると、怒り出します。

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宿題を忘れていくのは絶対に嫌、という姿勢から、お子さんの真面目で誠実な人柄が伝わってきますね。きっと、とても頑張り屋さんなのだと思います。

 

 

 

こちらのお子さんは、「間違っても、やり直せる」ということを体感し、気持ちの切り替え方法を身につけていただくと、ご自身の可能性をさらに大きく開花されるのではないかと思います。

そのために、まずは、お子さんの今の実力に合った課題を用意して、「 できた!」という成功体験をたくさん味わってもらい、自信を育ててあげるとよいかと思います。

学習面での自信が身につくにつれて、少しずつ、「間違っても、やり直せる」「間違うことは、悪いことではない」ということを、お子さんご自身が納得するための土台ができていくことでしょう。

まずは、「学習中には極力、怒らせない」という環境を用意してあげられるとベストでしょう。

 

そのために、たとえば以下のような支援が考えられます。

 

 

●宿題に取り組みやすくする

 

枚数を減らす、内容を簡単にするなどして、お子さんがスムーズに解けるものを学校側に用意していただけると理想的です。

宿題にはさまざまな役割があります。主に、家庭学習の習慣をつける、学力を高めるといった目的で設定されることが多いのですが、こちらのお子さんには、「ちゃんとできた!」という成功体験を与えるための課題として宿題を捉えていただくとよいのではないかと考えます。

ですから、「1桁の計算を2~3問解く」とか、「しりとりを10回続けて書く(りす→すいか→かめ・・・と名詞が10個出るまで続けていく)」とか、お子さんがほんのちょっと頑張れば解ける(さらに理想を言えば、楽しみながら解ける)課題を設定していただくのが理想的でしょう。簡単すぎてもよくありませんので、ちょうどよい内容を見極めてあげましょう。

宿題ができたら、ご家庭だけでなく、先生にも盛大に褒めていただきましょう。

 

 

●家庭学習に取り組む

 

この家庭学習も、学力強化を目指すというより、「成功体験を与える」ことが目的です。

ひらがな、1桁の計算、迷路、間違い探しなど、お子さんがやる気をもって取り組める内容のドリルなどを用意して、1日に1ページでもよいので取り組んでみるとよいでしょう。

冊子状のドリルは、ページを1枚ずつ切り離して、「今からやるのはこの枚数だけ」と明確にわかるようにしてあげると、さらに取り組みやすくなります。

学習を終えたら、こちらの記事を参考に、「ポイント制」で具体的に褒めてあげましょう。最初のうちは、わかりやすいフィードバック(ご褒美)があった方が、「勉強をやってよかった」という達成感につながりやすくなります。

 

 

●学習中の声かけ

 

課題に取り組む際、様子をよく観察してあげて、 少しでも迷ったり困ったりする様子が見られれば、
「ちょっと短くしてみようか」
「絵を多くしてみようか」
などと働きかけて、課題をより簡単なものに交換してあげましょう。
この時、「ちょっと簡単にしてみようか」と声かけをすると、 プライドを刺激して怒りにつながってしまう可能性がありますので、 課題ができなかった、という感じを与えないような声かけをするのがポイントです。

 

 

●気持ちの切り替え

 

学習中には極力「怒らせない」ことを目指す、と冒頭で書きましたが、練習を始めた当初は、怒りを抑えられないことも多いでしょう。

お子さんが怒る場面では、完全に平静な状態から突然ドカンと爆発する・・・というよりも、怒る前段階としてイライラし始める様子が見えることが多いと思います。その雰囲気を見逃さず、その時点で軽いクールダウンを行いましょう。「5分休憩しよう」とキャンディーを食べる、ストレッチをする、手遊びをするなど、お子さんに合った働きかけで気持ちの切り替えを自然に促します。怒りが収まったら、「気持ちの切り替えができたね!(上手に休憩できたね、などと言い換えてもよい)」と褒めてあげ、学習に戻ります。

 

イライラを超えて怒ってしまった時は、お子さんを(そして指導者ご自身のことも)責めずに、できるだけ早く気持ちを切り替えさせることを目指しましょう。
怒り出したら、すぐクールダウンの活動に誘います。言葉で誘うとさらに怒りが増すこともあるので、絵カードや文字カードなど、少しでも冷静に受け取れる指示を工夫してみてください。
クールダウンの活動の例としては、
・薄暗く狭いスペースで一人になる
・クッションをたたく
・トイレで大きな声を出す
・トランポリンで跳ぶ
などが考えられます。
お子さんが落ち着いて過ごせている時に、どうすれば気持ちを切り替えやすいか、一緒に話し合ってみるのもよいでしょう。

 

クールダウンができたら「気持ちの切り替えができたね!」とたくさん褒めてあげましょう。

こちらの記事で説明している「ポイント制」で、「気持ちを切り替える」という目標を立て、クールダウンができるたびにポイントを与えるのもお勧めです。

 

気持ちの切り替えの練習には、こちらの記事(4歳の息子のかんしゃくを静める5つのステップ)もご参考になるかと思います。

 

 

●小さな我慢を経験させる

 

生活の中でも、ごく小さな「我慢」をしてもらう経験を積んでいくとよいでしょう。

我慢の経験も、「間違っても、やり直せる」を納得するための土台につながっていきます。

「我慢の経験」とは、「一瞬、自分の気持ちを抑える経験」と言い換えてもよいでしょう。

 

たとえば、

・好きなゲームを鍵のかかる戸棚にしまっておき、大人に頼まなければゲームができないようにする

・好きなおやつAがないので、おやつBはどうか?と提案する

・キャッチボールをする(相手のタイミングを待つことが自分の我慢につながる)

・お子さんより年下のきょうだいや友達のお世話をしてもらう

・お子さんに何か頼まれたら「10数えたらやりましょう」と返す(10秒間でも立派な「我慢」です)

といった働きかけが考えられます。

お子さんの心の育ち方やご家庭の状況に応じて、ちょうどよい働きかけを工夫してみてくださいね。

 

 

 

これらの働きかけを通して、学習に前向きに取り組めるようになる、気持ちの切り替えにかかる時間が短くなる、といった成果が期待できます。そうしたら、練習全体を次のステップに進めてあげましょう。

また逆に、これらの働きかけがお子さんになかなか受け入れてもらえないこともあると思います。そのような時は、生活全体をもう一度見直して、どんなアプローチが効果的かを考え直していきましょう。

お子さんの心の動きやご家庭の状況に合わせて、支援を柔軟に変化させていけると素晴らしいですね。

 

 

支援のご参考になればと思います。

それでは!