【現実にとらわれず、理想を見つめよう】
先日、特別支援学校での学級運営に関してお話を伺う機会がありました。
その方がおっしゃることは、
○○は全然使えない。
○○なんて現場では役に立たない。
○○をする暇なんてない。
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という、否定の連続で、こちらからのお返事もなんとなく言葉を探り探りになりました。
私が一番困ったのは・・・
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生徒一人ひとりの情報処理の仕方が違い、
その違いがこちらにわからないこと
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というご発言でした。
一人ひとり異なる情報処理の仕方に丁寧に対応し、関わっていくのが特別支援学校の理想であるはずですが、そう理想通りにはいかない現場の苦しさを痛感しました。
特に学齢が上がれば上がるほど、下の学年で積み残してきた課題が膨れ上がり、絡み合い、ますます支援が一筋縄ではいかなくなります。
その方も、学年相当の対応力を身につけてやりたいという思いと、おそらくそこまでスキルが育っていない子に集団生活で無理を強いることが本当にその子のためになるのかという疑問との板ばさみに、困っておられるようでした。
一方で、白状すると、私は内心では
(何よりも一人ひとりの情報処理の違いや個性を理解しなければ、効果的な支援策など考えられないのでは?)
と思ってしまいました。
おそらくはその方も、さまざまな制約の中で一通りの支援策を試してみて、それがうまくいかなかったためにこのように考えるに至ったのだろうと思うのですが、冒頭の否定の連続もあったもので、ちょっと前向きなエネルギーの足りないおっしゃりようでは?と思ってしまったのです。
「とにかく良い方法を探している」ともおっしゃっていましたので、先方のちょっとした言葉の使い方やこちらのアンテナのすれ違いのせいで、この方がおっしゃりたかったこととは違ったように私が受け取った可能性もあります。
とは言え、
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支援は的確なアセスメントから始まる
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ということは、療育の大原則です。
あれもダメこれもダメと否定しているだけでは何も始まりません。
どうすればダメでなくなるのか、どうすれば自分の理想とする状況にたどりつけるのかという視点で考えるべきです。
市販品が使えないなら自作できます。
役に立たないものがあるなら、役に立つように改良できます。
暇がないなら、時間を作り出す工夫だけでもできませんか。
認知特性がわからないなら、わかろうとする努力だけでもしたいですよね。
その子の行動する通りに自分も行動してみる、ビデオ撮影をして客観的に見直してみる、その子の気持ちをできるだけ想像して仮説を立ててみる、仮説が間違っていたらもう一度やり直してみる、、、自分の想像力をフル回転させてその子と向き合っていけば、きっと何か見えてきます!
学校現場の激務は嫌というほどわかっていますが、現実の状況にとらわれてしまっては、教育の大志は成し得ないと考えます。
私たち、子供の教育や支援に携わる者は、あるべき教育の理想を常に思い描き、理想を実現するために行動すべきです。
そのために現実をしっかりと見据えることは必要不可欠で、正しく現実を把握するからこそ、理想までの道程を正確に描いていくことができるのです。
理想だけを追って現実的な対応力がないようではいけませんし、現実だけにとらわれて理想を失ってもいけません。
このバランス感覚を常に忘れずにいたいものですね。
忙しい現場で、今やるべき雑務に次から次へと流されるような働き方をしていると、このバランス感覚が見失われがちです。
私もバランス感覚を失いかけた一人ですので、よくわかります。
会社員として働いていた時、職場はとても活気があり、私は会社も仲間も仕事内容も最高に愛していたのですが(今でも大好きです)、いつの間にか理想を見失って現実に不満を感じている自分に気づいた時、自分の心根が汚れていくような生活をしている、と思いました。この時、自分が自分に満足できる働き方をしたいと思い、会社員という働き方を変えようと決めたのです。
学校は一般企業と比べて圧倒的に制約の多いところですから、先生方のご苦労もお察ししています。今回の話の方も、今のご自分のできる限りのことをしようとされているのは間違いないので、その努力を心から尊敬しています。
私が療育支援を通して皆さんにお伝えしたいのは、明るい希望です。
今できないからといって諦めたり、思うようにならない現実に不満を言ったりするのではなく、「じゃあ、どうする?」と改善に向けて一歩踏み出せるような考え方です。かつ、現実的に効果のある工夫を考え出せれば最高です。
「じゃあ、どうする?」と一歩踏み出すには、エネルギーが要ります。
療育や仕事や育児や家事などをフル回転でこなして、頭が現実集中モードになっている時は、気持ちを前向きに切り替えるエネルギーが足りなくなりがちですよね。私はそんな時にちょっとだけあなたにエネルギーをお送りして、あなたを支えられるような存在でありたいと思います。
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こうなりたいという理想に向けて努力するエネルギーを、
自分には何でもできちゃうんじゃないかと思えるパワーを、
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皆さんの中に生み出すことができれば、私には何よりの喜びです。
あなたとあなたのお子さんが、
今日も楽しかったなあ、明日も楽しみだなあ、
と思いながら眠りにつくことができたならば、それが人間としての最善の一日だと思います。
ご縁のあった方全員にそんな思いを感じていただけるよう、全力でサポートさせていただきます。
2015年もどうぞよろしくお願いいたします。